鎌倉世界遺産登録推進協議会
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武家の古都・鎌倉ニュース第7号

 

「新しいシンボルマーク「武家の古都・鎌倉」

「武家の古都・鎌倉」の世界遺産登録推進をアピー ルするために、登録推進協議会のシンボルマーク を決定しました。
昨年7 月1 日から10 月31 日までの3 カ月間と いう短い募集期間に、フランスやモナコなど海外 からも含めて、276 点ものご応募をいただきまし た。貴重な作品をお送り下さり、ご応募して下さっ た皆様に心より御礼申し上げます。
これら応募作品はすべて、審査委員会により厳 正に審査をさせていただき、昨年12 月には12 点 の入選作品が選ばれました。そしてこの中から最 優秀作品として、鎌倉市今泉台にお住まいのデザ イナー高橋隆三さんの作品が、審査委員会の満場 一致で、会のシンボルマークに決定しました。
2 月7 日には鎌倉市役所で、養老孟司会長から シンボルマークを作成した高橋さんに賞状が送ら れました。
養老会長はシンボルマークについて、「無駄がな く、非常に印象が強いデザインです。このような マークを目にするとき非常に大事なのが『見る力』 です。日本にはマンガの文化がありますが、マン ガというのは見るものです。』『見るマンガ』が日 本で発展したのは、日本人が漢字を使っているた めです。このような『見る力』というのは、日本 の文化の特長だと思います。このデザインもまた、 兜の中に鎌倉の地図が入るなど見事にいろいろな ものが含まれており、シンボルマークそのものが 歴史と文化をよく表しています。非常に普遍的な、 人間ならだれもが強いインパクトを受けるデザイ ンです。」と讃えました。
高橋さんは、「私は鎌倉が大好きで、海にも緑に も花にも寺社にもみんな愛着を感じています。世 界遺産登録推進の一助になれば、この上ない喜び です。」と語っていました。
シンボルマークは、鎌倉の世界遺産登録を広く 日本や海外の人たちに知ってもらうために、広報 やグッズに使っていく予定です。市民の皆様も、 シンボルマークを使ったグッズなどのアイデアを お寄せください。またご自分のお店や商品等に利 用したい場合は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせは事務局までどうぞ。

新しいシンボルマーク「武家の古都・鎌倉」
シンボルマークは、武家の古都の象徴である兜と鎌倉市全体 の地図を組み合わせています。下部は鎌倉の海岸線に沿った濃茶 色の大地で鎌倉彫などの伝統、中間は緑に囲まれた寺社や自然な ど現在の鎌倉の遺産の保全、上部の朱色は寺社の背後から上る太 陽と両手を拡げて伸びる輝かしい未来などさまざまな意味を込め ています。まだまだいろいろな構成要素がありますので、皆さん 自由にお考えください。
なおシンボルマークは外国ではロゴマークと呼びますが、日 本では区別していますので、シンボルマークで統一しています。

「武家の古都・鎌倉MAP」第2 版発行!

24 の候補遺産がひとめでわかるスグレものです 世界遺産候補の国指 定史跡がひとめでわか る!とご好評いただいて いる「武家の古都・鎌 倉MAP」第2 版では、 逗子、横浜の候補遺産ま でのバスや最寄駅まで網 羅しました。 鎌倉から逗子、横浜へと、 世界遺産登録の夢が広が りそうです。どうぞご活用ください。 お問い合わせは事務局まで。

 

ワークショップ『世界遺産に鎌倉を』開催

3 月15 日(土)、御成小学校の多目的ホールでワーク ショップが開かれました。
このワークショップは協議会の事業・広報の両部会が 横断的に作った市民フォーラム実行委員会が、昨年11 月頃に企画し準備を進めてきたものです。
鎌倉の世界遺産とまちづくりに関し、広く市民の皆さ んの意見をグループ毎に探り、今後の活動に役立てよう、 という趣旨で催されました。休日のさわやかな午後でし たが、65 人の参加者がテーブルにつき熱心に話し合う 場が実現しました。
各グループの話合いに入る前に、広報部会長内海恒雄 さんによる世界遺産についての概要、鎌倉での取組み、 提供資料類の説明がありました。また助言役を依頼した 地域プランナーの伊達美徳さん、産経新聞編集委員の宮 田一雄さん、鎌倉女学院の齋藤俊英校長から、討議用に 参考になるお話をしていただきました。
会場は年代別にシニア、ミドル、大学生、高校生等の 4 テーブルと、商業等の営業者、芸術文化関係、候補遺 産を抱える地域周辺の住民など3 テーブルの、合計7つ のテーブルに分かれ、各テーブルには進行役と協議会委 員、市の世界遺産担当職員がついて活発な話し合いが行 われました。参加者の感想・意見を記したカードが模造 紙の上にまとめられていき、その結果は進行役によって 全員に報告されました。
話し合いは、初めに鎌倉の世界文化遺産登録に期待さ れること・懸念すること、鎌倉のまちの良い面・悪い面、 というテーマについて行われ、次にそれらが将来にどう 変化していく(べき)かについて第2 ラウンドの話し合 いが持たれました。
各テーブルの発表の中から、総合司会をしながら聞い た、印象に残った意見や感想について書いてみます。
◎ 世界遺産登録に期待されること
「緑地の破壊を防ぐことが出来る」「ミニ開発にストッ プをかけられるのではないか」「雑然とした市街が改善 されるのではないか」「自治体に対し、学生や企業が貢 献する機会が増える」「観光客が増える」「質の良い旅行 プランが可能になる」「文化財が守られる」「鎌倉のブラ ンド性が高まる」などがありました。
◎ 世界遺産に懸念されること
「更に観光客が増えても対応できない」「外国人観光客 を失望させないか」「何故玉縄城を外すのか?」「雑然と した街で申し訳ない」「観光客が増えて、観光客・商業 者のクォリティが落ちる」「ゴミ問題、交通問題」「渋谷 のようにならないか」「若い人が遊びづらい街にならな いか」などが挙げられました。
◎ 鎌倉の「良い面」「悪い面」
「自然」「空気がおいしい」「まちを良くしようと汗をか く人が多い」「古いところ・新しいところ・文化・自然」 などが挙がり、ました「悪い面」は「閉鎖的」「物価が高い」 「ミニ開発が多い」「車が多い」「道路が狭い」「小町通り の原宿化」「地域間に意識差がある」「商業者のモラル低 下」「ブランド化」「観光客の多さ」「世界遺産にしよう とする情報が伝わって来ない」「自転車が走り難い」「娯 楽施設が少ない」など、たくさん出てきました。
◎ 将来どのように変化していくべきか
2 ラウンドに入っての将来的な変化の話としては「良 い観光客を呼び込むには良いまちにしなければ」「世界 遺産に登録して何がしたいか」「統一感が出てくるので はないか」「ブランド力の向上・ただし自主規制も」な どの意見が印象に残りました。
◎ 次回へのご参加をお待ちしています
冒頭の伊達さんの「世界遺産とは?」、宮田さんの「町 の規模に対する観光客数分析」、斉藤校長の「教育的観点」 などのお話は、参加者の皆さんに好評を博していました。 この日は、市民の世界遺産に対する率直な意見が次々 に展開され、テーブル運営の難役を勤めた7名の進行役 やスタッフもひとつになって熱気あふれる会になりまし た。今後も皆様の積極的なご参加をお待ちしています。 (市民フォーラム実行委員長・福澤健次)

 

めざせ!世界遺産登録

識字支援から学ぶ 世界遺産保全活動    鎌倉ユネスコ協会

鎌倉ユネスコ協会は1988 年の創立以来、世界遺産登 録地周辺での識字支援活動を行なっています。既に世界 遺産登録されたところでも、社会・経済的事情から教育 機会が不足しているところが多くあります。そこでの識 字支援が地域住民の世界遺産の理解と保全に繋がります。 鎌倉ユネスコではこれまでに、ペルーのワスカラン、 ブラジルのセラダカピバラ、ネパールのルンビニをはじ めアジアや南米に寺子屋を建て、教材を現地に届けるス タディツアーを実施してきました。また、日本ユネスコ 協会連盟を通じて、危機遺産への支援や経済的事情から 世界遺産登録が遅れているところの登録促進支援も行 なっています。
一方、鎌倉の世界遺産対応では、会員対象に1996 年 から2007 年迄に鎌倉の遺産保全関連講座や見学会を開 催してきました。主なものでは、永福寺跡見学会、各切 通・常盤亭跡見学、城郭都市発掘現場見学、大仏殿遺跡・ 仏法寺跡発掘現場見学、鶴岡八幡宮本殿重要文化財見学、 西村幸夫教授公開講座開催等です。また、鎌倉市の世界 遺産登録推進担当者を招いて、世界遺産登録に向けての 市の準備状況、武家の古都・鎌倉MAPについての勉強 会も2回開催しました。
鎌倉ユネスコは、支援から学んだことを地域遺産運動 推進に活かしながら、世界遺産問題を考えていきます。 ご入会に関するお問い合わせは〒247-0062 鎌倉市 山ノ内381 森井方(電話0467-22-8949) まで。


鎌倉まつり等で 世界遺産登録をめざす    (社)鎌倉市観光協会 

社団法人鎌倉市観光協会(以下観光協会)は、観光宣伝、 観光客の誘致、鎌倉まつり、鎌倉花火大会、鎌倉薪能など の観光行事、外国人観光客向け鎌倉ガイドの運営など、観 光に関する事業を行い、鎌倉の観光事業の振興と健全な発 展に努め、あわせて国際観光の振興に寄与しています。  今年度は、観光協会にとって、鎌倉まつりが50 回、鎌 倉花火大会が60 回、鎌倉薪能が50 回とそれぞれ節目の 年を迎えています。
 特に、今回の鎌倉まつりは、メインテーマを「鎌倉の世 界遺産登録をめざして」と掲げ、観光協会と登録推進協議 会のコラボレーションで取り組み、大いに成果を上げるこ とができました。推進協議会は、昨年も鎌倉まつりのパレ ードに参加し、武家の古都・鎌倉マップを配布しましたが、 今年はさらに積極的に協同歩調で参加しました。
 頼朝、政子、義経、静に扮装した推進協議会メンバーの鎌 倉武者行列による第50 回記念パレードへの参加、内海恒 雄広報部会長の案内による寺社特別拝観めぐり、工藤父母 道講師、県立七里ガ浜高校・吹奏楽部、植木リトゥル・エ コー・アンサンブルによる世界遺産講演会・演奏会、「鎌倉 の美」写真コンクール入賞作品展・「武家の古都・鎌倉」美術・ 写真展など幅広い協力や共催による参加を行いました。  井手太一観光協会会長(鎌倉世界遺産登録推進協議会  副会長)は、「推進協議会と共催した鎌倉まつりは大成功、 8 月の鎌倉花火大会、10 月の鎌倉薪能についても、鎌倉 の世界遺産登録に向けたイベントとして取り組んでいきた い」と抱負を語ってくれました。
 現在、観光協会では、新しい会員を募集しています。菅 原専務理事は「個人会員の入会も大歓迎です。一緒に鎌倉 の観光と産業を盛り上げていきませんか!鎌倉大好き人間 の入会をお待ちしています」と話しています。
 お問い合わせは観光協会(電話0467-23-3050)まで。

 

News! the 世界遺産

「みんなで話そう 世界遺産と市民生活」
五味文彦さん、上野邦一さんと市民がディスカッション

鎌倉の世界遺産登録の取り組みに大きな意味を 持つ対話集会(古都フォーラム鎌倉・鎌倉地方自 治研究センター・鎌倉世界遺産登録推進協議会の 共催)が、去る2月9日(土)午後、鎌倉生涯学 習センターで開催されました。放送大学教授の五 味文彦先生、奈良女子大学特任教授でイコモス会 員の上野邦一先生の講演の後、座席数50 人の部 屋を満席にしての活発な意見交換がなされ中身の 濃い集会となりました。講演と対話集会の内容を ご紹介します。なお、全録は追って冊子に致しま す。どうぞご利用ください。(古都フォーラム鎌倉)
【要旨】 五味文彦さん
◎ 鎌倉の世界遺産登録の問題点
 鎌倉では「中世城塞都市・鎌倉」として世界遺 産登録の準備作業を進めてきた。しかし、城塞都 市の中核となる山稜部の調査や仏法寺跡の発掘調 査などの結果、世界遺産登録のコンセプトとして は、他との比較において「城塞都市」では難しい だろうということで、改めて自然風土や景観との 観点から鎌倉の文化 を、七つの文化に分 類して捉え直し、さ らに歴史的変遷を加 味して打ち出された のが「武家の古都・ 鎌倉」というコンセ プトである。
 武家の古都というと 武士のイメージが強 く、武力というマイナス評価もあるが、一方で、 武士が自ら築いた政権によって、自然環境に即し た自前の都を建設し、その中で新たな文化の担い 手となって、今に伝わる民衆文化を育んできた。  武家の古都・鎌倉の「鎌倉」は、鎌倉時代の鎌 倉であり、鎌倉新仏教の鎌倉であり、独自の都市 構造の中に育まれた七つの文化が、有機的に結び ついて一つの宇宙を形成している。鎌倉の特徴は まさにここにある。都市の総体を遺産として登録 すべき、と考えてみた。
ここで問題なのは、武家の古都といいながら武 家の拠点となっていた御所については全く触れら れていない。宇津宮御所に至っては調査すら全く 不可能な状態である。また都市の遺跡として考え る上で、大きな問題は発掘保存の体制が全く出来 ていない。鎌倉は地下に大変貴重な遺構があり、 それが鎌倉の都市としての真実性とか完全性を物 語るはずだが、どこにも残っていない、見えない。  本来ならば「武家の古都・鎌倉」を登録する、 ということになるのだが、推薦書原案作成の段階 では武家の古都鎌倉に有る文化財を軸に、「武家 の古都・鎌倉の文化財」とすることで落ち着いた。  これを契機に行政・市民・研究者が一丸となっ て運動の輪を広げ、新しい鎌倉の魅力を引き出し て欲しい。
【要旨】 上野邦一さん
◎ イコモスの立場から考える
 世界遺産になるのは、歴史的な意義と価値、同 時にその対象となる物、場所の保存管理をきちん として、どう受け継いでいくかを明示しなければ ならないということを、念頭におく必要がある。 そこで「武家の古都・鎌倉」というならば、鎌倉 幕府の拠点である幕府跡はどうなっているのか、 どうするのかを多 分専門家からは当 然問われるであろ う。保存管理計画 の中でしかるべき 項目が入っていな ければ、その理由 だけで返される。  最近ユネスコで は、「リビングヘ リテイジ」ということを言っている。端的にいう と「生きている遺産」ということになる。つまり、 遺跡は遺跡として隔離されて残ってきたのではな く、長い間その地域の住民と一体となって残って きた。であるから、そこに暮らす人たちの生活を 脅かすような形での保存は好ましくない、という 考え方。そういう意味では、鎌倉の場合、今まで あるものと市民の生活とをどう調和させていくの かを提起していけば、世界遺産をこれから活用し ていく先駈けになるのでは。ぜひ「生きている都 市」、その中で遺産をどう守っていくのかを考え てほしい。
 

五味先生、上野先生と 市民とのトーク(抜粋)

鎌倉は遺跡と同居しているとも言える。「生 きている都市」としてどのようなプレゼンをしたら いいか。
五味 遺跡も含めて自分たちの住む街として議論 することが必要。御谷のときのように鎌倉には潜 在的な力は十分にある。自分たちの力を信じて行 政とタイアップして登録に持っていってほしい。
上野 やぐらを見て非常に面白いなと感じた。あ る家の中に取り込まれて、そのまま物置とかガレ ージとして使われている。当時の鎌倉の文化を現 すと同時に、現代の人がそれを再利用して生活に 取り込んでいる。これこそが「生きている都市」 の在りようだと思う。
五味 いまやぐらで大事なのは崖崩れや開発など でどんどん消えていくという状況だ。そこに納め られている五輪塔などが盗まれるという問題もあ る。
上野 鎌倉で盗掘というのは初めて聞くが、文化 遺産を守っていくには、その遺産の意味とか位置 づけをしていくためにも、教育は大前提だ。これ は研究者の役割でもあるが、知らないで壊すとい うこともある。
 ー五味先生の研究者も取り込んだ活動という ことになる。
五味 そう、行政は行政で、市民は市民でそれぞ れ一生懸命にやっている。一方で、誰かがやって いるからいいだろう、という冷めた市民が多い。 研究者をドンドン使って、そういう人たちの目の 色を変えさせるようなプラスアルファみたいなも のを、運動として打ち出していくことが必要だ。 鎌倉にはそれだけのものがある。
上野 目の色が変わっていないということだが、 暫定登録されて10 何年も経っているが、鎌倉市 民はまだ目の色が変わっていないのか。身近過 ぎて価値や意味がわからないということもある。 やぐらだって鎌倉の人にはどうってことがない かも知れないが、私が見ると面白い。発見だっ てある。ぜひ目の色を変えて欲しい。
 ー協議会が出来て少し目の色が変わってきた のでは。その協議会で登録資産候補24 箇所のマッ プを作ったが、大倉幕府跡もやぐらも載っていない。 「武家の古都・鎌倉」としては幕府跡は省くわけに はいかない。やぐらも鎌倉らしい都市の在りようと して特徴を示すものだという。市民はどう受け止め たらいいか。
 ー今 一番心配し ているのは 御所(幕府) の遺構であ る。大倉は 手付かず、若宮大路周辺の遺構や遺物は地権者との 問題があり、全く残っていない状況である。今なら まだ可能だと思うので、発掘調査をして遺構を明ら かにすべである。
上野 世界遺産になるためには、世界の人々の見 方を獲得しないといけない。鎌倉もその意味では、 防御都市、城塞都市ではなく「武家の古都」にし たことは多分正解だと思う。幕府跡ややぐらはき ちんとプレゼンできるようにすることが大事だ。
行政1 世界遺産の運動を契機に、条件整備を重 ね鎌倉を魅力ある街にしていく、そのためには世 界遺産登録に向けての取り組みは意義深いものと 考える。
行政2 われわれ行政は、市民運動の中で直接反 映されてくる声と、声にならない声の両方を受け 止めて進めることの重要さを実感している。歴史 的資産の保全と併せて、市民生活の在りようをし っかり位置づけていきたい。
 

『候補遺産の維持・管理・公開に向けて』
〜段階的な整備が着々と進んでいます〜

国際的に貴重な文化財を世界遺産に登録することは、 人類共通の宝物として保護していくことはもとより、適 切に公開し、その価値や国の文化をより多くの方々に理 解してもらうことも重要な目的の一つとなります。 鎌倉の文化財は、これまでも地域住民や市民団体、行 政などが協働して、様々な保護や公開が図られてきまし たが、「武家の古都・鎌倉」に関連する候補遺産につい ては、世界遺産登録の推進を契機として、より積極的な 活用を図ることとしており、国や県の協力を得ながら、 維持・管理・公開に向け、段階的な整備が進められてい ます。
【史跡永福寺跡】
 平成16 年度から保存整備事業に着手している史跡永 福寺跡では、平成19 年度から三堂基壇と苑池の復元に 向けた工事に着手しています。また、平成20 年度には、 整備区域内の貴重な自然環境を守るための調査も併せて 実施し、平成24 年度末まで行われる予定の整備工事に 反映されることになっています。
 将来的には橋の復元や庭園の整備も行うこととしてい ますが、この工事にあたっては、地域の方々の理解と協 力のもとで進められていることも忘れてはなりません。
【史跡朝夷奈切通・大仏切通・仮粧坂・名越切通】
 鎌倉七口とも言われる切通のうち、世界遺産登録に関 連する史跡 朝夷奈切 通・大仏切 通・仮粧坂・ 名越切通に ついては、 歩行の際に 危険と思わ れる木の伐 採や朽ちて倒れた木の撤去、貴重な文化財にふさわしい 階段や道標の設置など、史跡の環境の維持・保全と公開 を目指した整備工事が行われています。
 特に、名越切通については、逗子市側の史跡地におい ては、既に策定されている整備実施計画に基づき、本格 的な保存・整備が行われており、今後は、まんだら堂や ぐら群の一般公開に向けた事業が進められる予定です。
【史跡北条氏常盤亭跡、一升桝遺跡】
 広く一般に史跡を公開していくためには、史跡へのア クセス性を高めることも重要となります。  史跡北条氏常盤亭跡、一升桝遺跡は、丘陵地内に主要 な遺構が存在しているため、危険と思われる木の伐採や 倒れた木の撤去と併せて、現道の整備も行われ、歩行性 の向上が図られました。
【史跡仏法寺跡】
 現在、非公開となっている史跡仏法寺跡は、一部の斜 面で土砂の崩落が見られるため、史跡の保護と公開に向 けた工事を実施 する必要があり ます。平成19 年度には、地質 調査や倒れてい る木の撤去など が行われ、可能 な限り早い時期 に公開できるよう、取り組みが進められています。
【史跡称名寺】
横浜市金沢区にある史跡称名寺では、境内の苑池に架 かる橋の架け替え整備が進められています。平橋に続い て平成20 年度には朱丹塗りの反橋が完成し、水面に鮮 やかな影を映して、往時の浄土庭園の姿を再現すること になります。
 

出版委員会が発足しました

 武家の古都・鎌倉マップ作成委員会は、事業部会と広 報部会より選出された委員により、“ 武家の古都・鎌倉 マップ” を作成して、10 万余部を出版し、改訂版を作成 しましたが、次回の3訂版を作成すれば、当面基本的な 改訂は必要ないので、発展的に解消させ、出版委員会を 発足させて以下の事業を行うことになりました。 皆さん も興味のある分野を見つけてどうぞご参加ください。
1 “ 武家の古都・鎌倉マップ” 3訂版の作成
シンボルマークの掲載や角川学芸出版の広告掲載等と 外国語版(英語・仏語など)の作成。
2 (仮称)「鎌倉の世界遺産ガイドブック」の作成
持ち歩きのできる小冊子に、地図付きで世界遺産登録  の意義や遺産内容を写真入で紹介し、日本語・英語・ 仏語版などを作る。
3 (仮称)「鎌倉の世界遺産をつなぐ市民の動き」の   作成
鎌倉の世界遺産登録の背景には、様々な市民の活動が あることが認識できる資料集を作成し、世界遺産登録 への理解を深める。主な内容としては、ウォーナー博 士の鎌倉を空襲から守る業績の顕彰による建碑、今年 50 周年を迎える全国に先駆けて行われた「平和都市 宣言」の朝比奈宗源などの世界連邦運動、御谷騒動に よる「古都保存法」制定と古都鎌倉・逗子の歴史遺産 保全運動、世界遺産登録への市民の活動等を予定。

武家の古都・鎌倉」を映像でPR!
JCN鎌倉の協力により、PR用DVDを制作

これまで本推進協議会では、広く一般の方々に、鎌倉 の世界遺産登録に関する取り組みをお知らせするため、 「武家の古都・鎌倉ニュース」や「武家の古都・鎌倉マップ」 を配布してきましたが、新たな広報啓発活動の一環とし て、この度、PR用のビデオ、DVDを制作することに なりました。
このDVDは、本推進協議会の登録推進事業部会員  斎藤政丈さんが撮り溜めた候補遺産の数々とJCN鎌倉 がこれまでに制作したテレビ番組「鎌倉永劫(ようごう)」 とを再編集したもので、「武家の古都・鎌倉」の考え方 や候補遺産を紹介する内容となっています。 今後は、本推進協議会や参加団体が開催する様々なイ ベント会場での上映や、希望者への貸出なども行ってい く予定です。
「武家の古都・鎌倉ニュース」や「武家の古都・鎌倉 マップ」と合わせた活用等が期待されます。

「古都鎌倉の世界遺産登録』ってなに?
第6 回 源頼朝の鎌倉入りと寿福寺

伊豆で挙兵した源頼朝は、石橋山の合戦に敗れ安房国(房 総半島の先端部)に逃れました。『吾妻鏡』によると、頼 朝がいた安房の在所は要害の地でなく、祖先伝来の地でも ないため、鎌倉へ入るよう勧められたと記されています。 山に囲まれた要害は鎌倉以外にもあることから、祖先伝来 の地であったことが、頼朝が鎌倉を選んだ大きな要因であ ったと考えられます。
鎌倉は太平洋と東京湾を結ぶ海上交通の要衝であり、 11 世紀には頼朝より5代前の頼義が館を構え由比に八幡 宮(現在の元八幡)を建立していました。頼朝の父・源義 朝が鵠沼付近に侵攻した事件について、天養2 年(1145) に書かれた一連の文書群には、義朝が「鎌倉之楯(館)」 を拠点に勢力を拡大している様子がみえ、別の記録には頼 朝の兄・義平が「鎌倉悪源太」と称したとあります。『吾 妻鏡』では、義朝の館が亀ヶ谷にあったとされ、頼朝の没後、 妻・政子がその跡地に建立したのが寿福寺です。
頼朝は、父・義朝の本拠地を引き継ぎ、頼義が建立した 八幡宮を祀ることで、清和源氏嫡流家の当主であることを アピールし、東国に安定した基盤を持っていることを内外 に示そうとしたのです。
このように鎌倉は、祖先から受け継がれた由緒を持つ源 氏の拠点であったことから、頼朝の本拠地とされ、武家政 権発祥の地になったと考えられます。寿福寺は、鎌倉と源 氏のつながりを今に伝えているのです。

 

Event! the 世界遺産

「ベスト・オブ・世界遺産」展 映像と写真で体感!地球の記憶

小田急百貨店町田店・藤沢店では、TBSテレビから映像記録等の提供を受け、『「ベスト・オブ・世界遺産」 展(主催:ベスト・オブ・世界遺産展町田・藤沢開催実行委員会)』を開催します。これに併せて、鎌倉の世 界遺産登録に関するパネル等を無料コーナーに展示します。
とき・ところ/ 2008 年7月23 日(水)〜 28 日(月)小田急百貨店町田店8階催事場、 2008 年7月30 日(水)
〜8月4日(月)小田急百貨店藤沢店7階催事場 *各日10:00 〜 20:00(入場は終了30 分前まで。一部時 間の変更あり)
 入場料/一般700 円(前売り500 円)、大学・高校生400 円(前売り300 円) 
問合せ/小田急百貨店町田店 Tel 042-727-1111(代)または小田急百貨店藤沢店 Tel 0466-26-6111(代)

<いざかまくらトラスト>発足! いざかまくら塾 第1回   「鎌倉を護る龍神」伊藤正義さん

古都鎌倉を守ってきたのは、周囲を取り巻く山域です。龍口寺を頭に古都の遺産を抱える龍体の森、そのなかで、 「法で守れない<猫のひたい>ほどの緑地を市民が<猫の手>を借りるように小さな力を集めて守ろう!」「いざ、 かまくら!」を合言葉にトラストが発足しました。代表の伊藤正義・鶴見大学教授が記念セミナーを行います。
とき/ 6 月29 日(日) 午後1 時30 分〜 4 時  ところ/鎌倉商工会議所ホール(鎌倉駅西口・市役所向い側) 参加費/ 1,000 円(当日)
  申込方法/ハガキ、電話、ファクス、メールに、住所・氏名・電話番号・連絡方 法を明記して、下記事務所までお申し込みください。  
共催/鎌倉世界遺産登録推進協議会 逗子鎌倉の中世遺産を考える会  後援/鎌倉市教育委員会
主催:申込・問合せ先/いざかまくらトラスト(事務所)〒247-0063 鎌倉市梶原1-17-36 武永 方       電話.0467-25-3443(佐藤)
 ファクス.0467-48-3595 e-mail: kamatora08@yahoo.co.jp    

4/25(金)〜 6/1(日)仙台市博物館 特別展   「 武家文化の精華」〜金沢文庫・称名寺の名宝〜

神奈川県立金沢文庫は鎌倉幕府の執権・北条氏の一族である金沢氏の「文庫」に収められた和漢書籍や肖像画、 菩提寺である称名寺の仏教美術等が収蔵されています。これらの名宝を通じて、 「武家の古都・鎌倉」として世界遺産登録を推進している鎌倉時代の文化を、仙台の地で紹介します。
とき/ 4 月25 日(金)〜 6 月1 日(日)  問合せ先/仙台市博物館情報資料センター Tel .022‐225-3074 

鎌倉世界遺産登録推進協議会ホームページ只今更新中!

http://www.shonan-it.org/KWH-kyogikai/

古都鎌倉の世界遺産登録についての最新情報や、会報バックナンバー、世界遺産MAPなど、

編集後記  

第7号はまずシンボルマークの決定です。多数の公募 作品から選ばれただけあって、カラーでないのが残念で すが、兜の中に鎌倉の海岸から大地や緑の山や社寺など の様々な要素を盛り込んだ“ 武家の古都” にふさわしい 表現です。商標登録もしていますので、大いに活用され ることを期待しています。
 ワークショップ「世界遺産に鎌倉を」は、市民トーク の場がようやく実現し、世界遺産登録も市民のものとな りました。2回目も予定されていますので、多くの方の 参加をお願いします。
 座談会「みんなで話そう世界遺産と市民生活」も従来 の市民がただ聞くだけの会から一歩前進したものでした。 鎌倉の世界遺産登録は「武家の古都・鎌倉」が「武家の古都・ 鎌倉の文化財」になるということも検討の素材に上げら れており、早急にやらねばならない課題がまだまだある ことが示唆されていました。
 長年待ち望んでいた永福寺跡をはじめ、立ち入りでき なかった史跡の整備が始まり、幻の史跡が姿を現し、公 開される予定が明らかになったのは嬉しい限りです。 出版委員会も発足し、色々な出版物の国際化により、 文字通り世界遺産登録をめざしています。
 “ 世界遺産登録をめざして” をメインテーマに掲げて 「鎌倉まつり」の行事が行われました。みんなが楽しんで 世界遺産登録の実現に一体となれるのも鎌倉ならではと 思います。<広報部会長 内海恒雄>

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