鎌倉世界遺産登録推進協議会
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武家の古都・鎌倉ニュース第15号

 

推進協議会の合同部会を開催
鎌倉の世界遺産登録について松尾市長と意見交換

平成21 年11月より鎌倉市長に就任された松尾崇市 長をお招きし、平成21年12月9日、推進協議会の登録推 進事業部会と広報部会との合同部会が開催されました。  今回の合同部会の主旨は、松尾市長に推進協議会の 今までの経過や活動を知っていただくとともに、鎌倉 の世界遺産登録に対して、市長としてどのようにお考 えなのかを伺い、意見交換を行おうというものです。  まず両部会長と松尾市長の挨拶から始まり、次に各 実行委員会の委員長から活動内容が報告されました。 これらを踏まえて、意見交換が行われました。その概 要を紹介します。

市長  推進協議会では数々の実行委員会が組織され、 皆様がそれぞれの立場で活動されているということを、 改めて認識させていただきました。
 世界遺産登録に向けた取り組みは行政主導で進んで いくのではなく、行政が市民の方々のこうした活動を しっかりとバックアップする必要があると思います。
 選挙の際に、「世界遺産登録に積極的ではない」と 発言いたしました。しかし、それは「観光の活性化と か商業の活性化のみが世界遺産登録の目的になってし まうと、世界遺産登録をめざす本当の意義が伝わらな いのではないか」という危惧をもっていたからで、世 界遺産登録に反対するということではありません。
 市の財政状況は極めて厳しく、世界遺産登録につい ても、行財政改革の視点を持って進める必要があると 考えていますが、皆様とともに「豊かな鎌倉づくり」 をめざして、がんばっていきたいと思います。
部会員 行政の意気込みを示す意味でも、市役所や市 の公用車、若宮大路などの公有地に、景観に配慮した 形での看板などの宣伝活動が必要だと思います。
市長  7年前に視察した平泉では、町長の名刺や役場 の封筒などに「世界遺産」の文字があり、意気込みを 感じました。目に見えることからやる必要は認識して いまして、景観を損なわない形で、できることはやり たいと思います。
部会員  セビリアで開催された世界遺産委員会に参加 して、他国の文化遺産と比べても鎌倉の文化遺産は劣 るものではなく、価値があると実感しました。鎌倉に 足りないのは市民と行政の本気の議論だと思います。
部会員  登録を推進するなら、若宮大路などに看板が あってもいいと思いますが、商店街などは盛り上がっ ていないと思います。推進している市議会議員の方は 少ないようですが、議員の方々の熱意はどうですか。
市長  12 月市議会の中で、3 名の議員の方々から質問 がありました。世界遺産登録を推進し、それにふさわ しいまちづくりを進めてほしいという趣旨であったと 理解しています。
部会員  鎌倉から世界遺産学を発信し、文化財と共存 するまちづくりを進めたいと考えています。市長には 今後もこうした場にお越しいただき、市民のエネル ギーを吸収してほしいと思います。
部会員  世界遺産登録が実現しても、交通問題やトイ レなどのインフラの整備も含めて、総合的にまちづく りを進めていただければと考えています。
市長  世界遺産は登録されることがゴールではありま せん。50 年、100 年先を見据えて、文化財の保護と息 の長いこの鎌倉のまちづくりを、市民の皆様と一緒 にオール鎌倉で取り組んでいきたいと考えています。

平成22年度総会にて、 松尾市長が推進協議会会長に就任しました。
 

追悼・・・インタビューで知った熱き思い
鎌倉の世界遺産登録と平山郁夫先生

鎌倉の世界遺産登録推進協議会特別顧問で名誉市民の平山郁夫さん は、自らの被爆体験に基づいて原爆ドームの登録に奔走されました。 広島の登録を踏まえて世界遺産登録に向け立ち向かおうという矢先の 突然の死(2009 年12月)は、鎌倉にとっても大きな衝撃でした。 

 1972年に高松塚古墳が発見され、師の前田青邨さん が総監修となり壁画の模写が始まり、平山さんは毎日 東京から鎌倉の前田さんのアトリエに通いました。数 回にわたるインタビューでは「鎌倉に住んだらといわ れ、家捜しをしました。瑞泉寺に近い二階堂の屋敷は もと一高、東大のドイツ語の先生の家でした。夏目漱 石も泊まりに来たことがあるという由緒あるところで した」と鎌倉との出会いを懐かしんでおられました。 恐竜の研究で知られるご子息の平山廉さんは、「二階 堂の早朝のアトリエの雰囲気が非常に気に入っており、 絵の創作に入りやすいと聞いた覚えがあります」と父 の思い出に触れています。
 平山さんは1994 年秋、高徳院で行われた鎌倉同人 会80 周年記念座談会で、鎌倉の文化・伝統に対する基 本的な考えを述べておられます。世界遺産に対する平 山さんの基本理念ともいえます。  「鎌倉は日本の歴史上、抜きがたい位置を占めてい ます。そこに生きる文化や伝統を継続し、発展をはか ることはとても意義のあることです。日本の歴史を一 本の線と考えると奈良・京都・鎌倉は古代史につなが る舞台になるわけです。鎌倉同人会はそういう歴史的 遺産を乱開発から守っていく存在です」
 広島生まれの平山さんは被爆体験を基にして原爆 ドームを世界遺産にするため、奔走されました。登録 に反対するアメリカの説得が主な仕事でした。原爆 ドームには法律による保護措置がまったくなく、文化 庁も及び腰でした。さらに建造物の文化財指定には、 築後百年という条件があり、原爆ドームは対象外とみ なされていたのです。平山さんたちの努力が実り199 6 年、史跡指定され世界遺産に登録されました。
 19 98 年に文化勲章受賞直後のインタビューでは当 時、鎌倉の世界遺産登録に向けて注目されていた「城 塞都市」という考え方が話題になりました。鎌倉の邸 宅には玄関から応接間に至るまで、叙勲のお祝いのラ ンの鉢植えがびっしり並んでいたのが印象的でした。 「一度認定されると大きな変更はできません。鎌倉も 同じです。城塞都市というのは自然の山に囲まれ切通 で守られているのが特徴です。計画や趣旨はいいので すが、世界遺産となると総合的な保存が大切です。応 仁の乱にもかかわらず、京都には由緒あるところがた くさんあります。奈良にもたくさんモノが残っています。 鎌倉はそれほど豊かではありませんが、いくつもの切 通で守られてきました。これは文化遺産の理由にな ります」
 鎌倉には平山さんの遺産がいくつもあります。鎌倉 芸術館の緞帳(どんちょう)には大海原に朝日が昇る雄大な情景が 描かれています。198 4 年以来、作家川端康成、画家小 倉遊亀、漫画家横山隆一と続いた鎌倉文化人のビデ オでは、名誉市民となったのをきっかけに昨年、「鎌 倉に生きる平山郁夫」が完成したばかり。その中で妻 の美智子さんは、シルクロードの作品で知られる平山 さんはもともと意識していたわけではなく、仏画を描 くために歩いたところを点として残していたら、シル クロードのラインになっていたと言っておられました。  18 年前の芸術館建設当時から平山さんに接してき た鎌倉市の前生涯学習部長の金川剛文さんは、一昨年、 平泉の落選が決まった時、「先生は世界遺産については、 鎌倉の推薦書が出て、審査の段階に入ったらいくら でも協力したいと胸の内を明かしておられました」と 言っています。時を同じくして平山さんは、推進協議 会の特別顧問に就任されました。何か心に期するこ とがあったのでしょう。
 昨年春、市役所正面玄関前に完成した石碑には平 山さんの筆による平和都市宣言が彫りこまれています。 平和の使徒としての最後のメッセージと言えるでしょう。
( 高木規矩郎)

 

観光振興シンポジウム
鎌倉の魅力再発見 〜世界遺産登録をめざして〜(要旨)

国際都市鎌倉は、世界遺産登録をめざしていますが、 外国の方々から見るとどのような魅力と課題があるの でしょうか。2月27日、市内在住の外国人から意見を 聞くシンポジウムが、鎌倉市観光振興推進本部主催、 推進協議会共催、鎌倉市観光協会企画・立案で、満席 の妙本寺本堂で開かれました。以下はその要旨です。

◎講演「鎌倉の魅力」
講師: ピーター・ミラーさん( 銅版画家・アメリカ出身)  鎌倉の環境・歴史・文化から鎌倉の魅力を話されま した。鎌倉の「わび・さび」を京都と対比し、鎌倉の 武家文化が各地に広まったり、禅の文化が庭園に見 られることを夢窓疎石の瑞泉寺や鎌倉五山、紫陽花 の明月院、竹寺の報国寺などで紹介されました。そして、 鎌倉は時の流れが遅く、江ノ電が走り、海や町中の風 景は自動車より自転車がふさわしく、スローライフを楽 しむ環境は「生きるスペースがある」と結ばれました。
◎中国琵琶演奏
陳麗華さん(琵琶演奏家・中国出身)
 長谷や大船の観音にお参りする陳さんによる「観 世音菩薩」や「花まつり」の素晴らしい演奏があり ました。
◎パネルディスカッション「鎌倉のもつ魅力と課題」
久能靖さん(コーディネーター・ニュースキャスター)
 50 年鎌倉に住んでいますが、世界遺産を目指して いる古都鎌倉はどうあるべきなのでしょうか。鎌倉 にお住まいの外国人の方にはどのように見えるので しょうか。
アナン・ビイ・メタさん(会社経営・インド出身)
 24 年住んでいますが、鎌倉の空気を汚さないため に自動車には乗りません。鎌倉は空気がおいしいし、 住んでいる極楽寺の駅に降りるとまた空気が違います。
ウィルソン・ヘザーさん(大学講師・カナダ出身)
 3 6 年住んでいます。海と山があり、東京・横浜に近く、 歴史のある古い町で、京都や奈良とともに爆弾を落と されずに守られ、細い路地を生かした町づくりが行わ れ、カナダにはない魅力があります。
佐藤ステファニア・バルディさん(通訳・イタリア出身)
 鎌倉には外国人の案内等で訪れていましたが、自然 な感じで無理なく溶け込めるところや歴史の重さを知 る良さがあり、落ち着きのない東京から鎌倉に住みた いと、極楽寺に移って15 年になります。歴史や自然 環境は中世の都市国家で世界遺産にもなっている故 郷のシエナと似ています。これからは観光客ではなく、 市民として鎌倉に関わっていきたいと思います。
グエン・ゾン・ミンさん(大学院生・ベトナム出身)
 鎌倉に住んで1 年ですが、安心して住める街で、春 は段葛の桜、夏は燃える由比ガ浜、秋は赤く染まる鎌 倉山、冬は白雪の富士山と、鎌倉の住人の心の温かさ に包まれて生活が楽しいです。ハノイは千年の歴史が あり、鎌倉の八百年より古いが、心の中の存在が重要で、 鎌倉も「シビック・プライド」という、住んでいる人、 学んでいる人、遊びに来る人などが誇りと愛着を持て るような街に育ててほしいと思います。
◎鎌倉の気になるところ
久能さん 住む前のイメージと違うところや直したい ところはどんなところですか。
アナンさん 2 0 年で変わったのは鎌倉駅前で、バスや タクシーの排気ガスをなくし電気自動車を主にして、 空気をもっと良くしてほしいと思います。木が多くて 噴水があるような場所にしたいです。極楽寺は信号の ないところが気に入っています。
ヘザーさん 鎌倉は歴史のある古い街だと思っていた のですが、大きな屋敷が無くなると小さな西洋式の家 になってしまいます。個人の家にも市が力を入れて市 全体に歴史的デザインを取り入れてほしいです。
バルディさん 鎌倉に住んで山に囲まれた安心感と海 の開放感が良かったのですが、開発が激しいのが気に なります。環境に合うかどうか考えて、街全体の調和 を住民が自覚することが必要です。
ミンさん 子供連れの若い人が住めるような魅力ある 街にする企画が欲しいですね。

 参加者との討論では、世界遺産に向けての交通対策 や、海・山の景観の保護、母国の世界遺産と鎌倉の候 補地の良さと問題点など多彩な議論が交わされ、私た ちが気付かない鎌倉の魅力と課題がいろいろあること が分かりました。

 

『武家の古都  鎌倉塾』  平成21 年度春季講座第4回講演要旨

法華堂と大倉幕府跡
講師:鎌倉市教育委員会・史跡永福寺跡調査研究委員 福田 誠さん
とき:平成21年6 月2 0 日(土)  ところ: 鎌倉生涯学習センター第5 集会室

源頼朝と北条義時の法華堂・大倉幕府の実態はど のようなものであったのか、文献や遺跡の発掘調査 によって確認できたことを話すことにしたい。
◎法華堂の変遷
 末法の世に入った平安中期から、極楽往生をとげ る方法として、墓所を法華堂として営むことが行わ れるようになった。例えば平泉の中尊寺金色堂も藤 原三代の遺骸を納める法華堂である。
 頼朝は生前、御所の後山に持仏堂(観音堂)を営ん だが、没後それが法華堂となった。頼朝の法華堂か ら尾根を隔てた東側、山の中腹に義時の法華堂があっ た。頼朝が没した正治元年(1199)から25 年後の元 仁元年(1224)に死去した義時が葬られた場所である。 ところが以後たびたび火災にあっている。寛喜3 年 (1231)10月、両法華堂は本尊と共に焼失。同年11月 には頼朝法華堂の上棟式が行われたが、義時の法華 堂もほどなく再建されたと思われる。宝治元年 (1247)6月には、泰村以下三浦一族が頼朝法華堂に立 てこもり、頼朝の御影の前で自刃するという事件が あった。弘安3 年(1280)10月、頼朝ならびに義時・ 時房の法華堂が焼失、次いで延慶3 年(1310 )11月 に安養院から発した大火によって、法華堂などの建 物多数が焼失した。
◎義時法華堂の規模
 発掘調査は、平成17年4月から8月末まで行われた。 国の史跡としての法華堂の範囲を広く捉えようとい う意識のもとに、義時法華堂跡が調査された。遺跡 からは基壇と縁の礎石の一部、雨落ち溝の石列など が発見され、一辺8 . 4 m の正方形、9 尺−10尺−9尺 の柱間を持つ三間堂が確認された。軒出を含めた堂 の大きさは、東辺雨落ち溝と西辺雨落ち溝の距離から 12 . 4m(41尺)であることが確認された。溝から出土 した遺物は13 世紀から14 世紀初めのもので、弘安3 年と延慶3年の火災を記した記録に一致する。
 なお、その後法華堂は営まれなくなり、都市整備 が進む中で、平地の少ない鎌倉の府内で墓所を営む ことが禁止され、それに代わって岩窟寺院の形態を 取り込んだ「やぐら」が作られるようになった。
◎武家政権発祥の地としての鎌倉
 治承4年(1180)12月に頼朝の大倉御所が完成した。 当初、扇ガ谷の寿福寺のあたりにあったとされる義 朝の楯(館)に置こうとしたが、義朝を祀る堂もあっ て手狭であったことから、大倉の地に定めたという。 嘉禄元年(1225)に宇津(都)宮辻子に幕府が移転す るまでの4 5年間、大倉は鎌倉の中心であった。御所 には寝殿・対屋・御厩や侍所などの幕府の施設があり、 御家人たちの館が御所を中心に東側に広がっていた ことが文献や発掘調査などで判明している。
 御所の南側には八幡宮脇から十二所・朝夷奈切通 を経て六浦に通じる六浦路、大倉の辻付近からは永 福寺へ続く二階堂大路が造られていた。三代に亘る 源氏将軍の時代の鎌倉は、大倉御所と鶴岡八幡宮を 中心とした東西ラインが基本軸であった。
 大倉幕府を中心とする地域内で、現在まで行われ た発掘調査は30 件にのぼる。鎌倉時代草創期から前 期までの六浦路沿いの遺跡からは、規模の大きな建 物跡や側溝・建物の間を区切る薬研掘の溝や掘立柱 跡が発見され、大量の遺物も出土している。二階堂 大路沿いの遺跡からは、側溝・築地塀などが発見さ れた。寺社以外の建物は地面に直接柱を建てる掘立 柱建物であるため、耐用年数が短く、何度も繰り返 して立て替えられている。
 八幡宮境内では、直会殿用地の調査時に八幡宮草 創期に近い参道が、武徳殿用地の調査時に草創期の 堀や宿直小屋と思われる4棟の建物跡が発見された。
◎大倉御所移転後の鎌倉
 御所が若宮大路の東側の宇津(都)宮辻子に移され た後、鎌倉の中心線は若宮大路となり、南北を基本軸 とする都市整備が行われた。若宮大路の両側には幅 3m、深さ1. 5mの側溝のあったことが確認されている。
 一方、大倉御所の跡地は聖地として保存されるこ ともなく、御家人たちの館や民家などの用地として 分割利用されていた。嘉禎元年(1235)法華堂前の湯 屋から出火した際、湯屋と法華堂との間の民家数十 軒を壊し法華堂への延焼を食い止め、宝治元年に火 災になった法華堂前の人家10 軒の中に金沢実時の邸 宅があったことが『吾妻鏡』に記されている。
 現在、西御門・東御門・南御門という地名があり、 それこそが大倉幕府の記憶を明瞭に留めているもの で、あらためて地名の大切さがわかる。

 

めざせ!世界遺産登録

検定を通じて鎌倉の再発見!    鎌倉検定市民の会

「鎌倉ファンを増やそう」と「市民に鎌倉の再発見を」 という二大目標を掲げ、平成17 年に前身となる「鎌倉 検定実現を目指す会」を立ち上げました。多くの関係 諸団体に働きかけ、翌年に第一回の検定が実施される ことになり、名称を「鎌倉検定市民の会」と改称して、 鎌倉検定のサポートをしています。
 当初は不定期に鎌倉散策を企画していましたが、参 加者からの希望もあり、昨年から「鎌倉検定歩き学 び塾」を始め、月一回の座学とフィールドワークを 行っています。現在では、鎌倉市民を中心に他市から の参加者も広がり、二期生約70 名の方々が楽しく学 んでいます。「机上での学習後、実地で本物を見て歩 くことで理解が深まり、鎌倉を世界遺産として価値あ るものと再確認する機会にもつながった」と好評です。  代表の大津理津子さんは「塾生の間でも世界遺産登 録への期待の声は大きく、ますます関心を高めています。 塾生以外も参加できるバスツアーやハイキングを年数回 開催していますので、ご興味のある方はご連絡ください」 と話されていました。

 

中学生作文コンクールで登録推進を後押し    鎌倉市青少年指導員連絡協議会

地域社会の中で青少年健全育成を推進支援するために、 市内の自治町内会長からの推薦により、神奈川県知事と 鎌倉市長から委嘱を受けた70 名の指導員(定員は75 名) が、年間を通して多様な活動に取り組んでいます。  鎌倉世界遺産登録推進に若い力も協力しようと、平成 19 年に第1 回「鎌倉世界遺産登録推進に向けての中学 生作文コンクール」を主催したところ、56 4 名(平成20 年の第2 回は323 名)の応募があり、大変好評で、各方 面の方々から激励が寄せられました。
 平成21年の第3回は当会と推進協議会の主催、鎌倉 市の共催で「鎌倉八百年の歴史を世界遺産に」という テーマに対して559 名から力作・秀作が集まりました。  過去2回の表彰式・発表会は御成小学校で開催しま したが、今回は市役所・市議会の協力で、昨年12 月 12日(土)に市議会本会議場での開催を実現できま した。石井会長は、「表彰を受けた18 名はもちろん、応 募した皆さん全員にとっても貴重な想い出になったと思 います。世界遺産登録実現までこのコンクールを継続  実施していこうと考えています」と話されていました。 

 

「古都鎌倉の世界遺産登録』ってなに?
第14 回 切通はどんなところ?

鎌倉の三方を囲む丘陵部に残る切通 は、武家政権の都・鎌倉へ出入りする ために、文字通り山を切り開いて通し た交通路でした。中でも、朝夷奈切通・ 名越切通・亀ヶ谷坂・大仏切通・仮粧坂・ 巨福呂坂・極楽寺切通の7つの重要な 切通は、江戸時代には鎌倉七口と呼ば れていました。
 これらの切通は、鎌倉の都市として の発展にともない活発になった人の交 流や物資の流通等に対応するため、交 通路として主に鎌倉幕府により整備さ れました。しかし、交通路という性格 から、鎌倉の防衛上も重要な場所と なったため、切岸や平場など防御的な 造成が施されたり、切通付近に有力な 御家人の館が配置されました。
 また、切通周辺にはやぐら群や荼毘(だび) 跡などの遺構が確認されており、葬送 の地でもあったことが窺えます。さら に、名越切通や大仏切通周辺には、高 さ15〜20m以上にわたって垂直に切り 落とされた切岸が存在することから、 鎌倉石の切り出しが行われた生産の場 であった可能性も指摘されています。
 このように、多様な性格を有する切 通のうち、旧状をよく留める朝夷奈切 通・名越切通・亀ヶ谷坂・大仏切通・ 仮粧坂の5つの切通は、武家による鎌 倉の交通路支配の状況を示す重要な史 跡であることから、世界文化遺産の候 補資産になっています。

 

News! the 世界遺産

「鎌倉世界遺産登録推進に向けての中学生作文コンクール」

鎌倉市青少年指導員連絡協議会と推進協議会の主催、鎌倉市の共催で行われました。第3回のテーマは「鎌 倉八百年の歴史を世界遺産に」というものです。  鎌倉市内の中学校から559 作品が寄せられ、18人の 入賞者が決定。平成21 年12月12日に、鎌倉市議会本 会議場で表彰式と朗読発表会が行われました。以下に 最優秀作品をご紹介します。

「鎌倉八百年の歴史を世界遺産に」

【最優秀賞】 大船中学校 3年 小山 歩美

私の住む鎌倉は、世界遺産に登録されること を目指している。世界遺産とは何か。そして、 登録されることの意義について考えた。
 世界遺産条約は1972年第 17 回ユネスコ総 会で採択された条約で、「世界の文化遺産及び 自然遺産の保護に関する条約」だ。世界遺産とは、 この条約に基づいて登録された文化遺産や自然 遺産のことである。日本では、屋久島や白神山 地が自然遺産として、法隆寺地域の仏教建造物 群や白川郷・五箇山の合掌造り集落などが文化 遺産として登録されている。
 ここ鎌倉は、源頼朝が武士による新しい政治 を行うため幕府を開いた土地で、八百年以上の 歴史を持つ。源氏の守護神であり、将軍になる ときの儀式をはじめ、幕府の政治的儀式なども 執り行われた鶴岡八幡宮。頼朝の妻政子の安産 を祈り造られた参道で、桜並木やさつきの美し い段葛。わが国最初の禅宗寺院建長寺や元寇の 終わった後戦死した敵味方の霊を慰めるため建 てられた円覚寺などの寺院。奈良の大仏に次ぐ、 約 11 メートルの高さを持つ、浄土信仰の長谷の 大仏。鎌倉では、これら国宝や重要文化財など の歴史的建造物が人々の日常生活の中にあり、 親しまれている。
 電車で帰ってきたとき、北鎌倉駅が近くなる と私は心がほっと落ち着くのを感じる。家が近 くなったというのも勿論あるが、都心からわず か1時間弱の距離にあるとは思えないほど豊か な自然があるからだ。左手には円覚寺・六国見 山から鶴岡八幡宮にかけて、右手には台峰の、 木々の緑が目に優しいからだ。しかし、この自 然も開発の脅威にさらされたことがある。昭和 30 年代の後半、「御谷」と呼ばれる鶴岡八幡宮 の裏山が宅地造成されようとしたのだ。これに 鎌倉市民が立ち上がり、「古都における歴史的 風土の保存に関する特別措置法」が成立した。 一般に古都保存法と呼ばれるこの法律は鎌倉で の自然保護活動を契機につくられた。これによ り、神社・寺院と一体となった景観を作り出し、 見るものに安らぎを与える自然が守られたのだ。
 世界遺産に登録されると、観光地として今以 上に多くの人が訪れるだろう。鎌倉は道が狭く 渋滞など解決すべき問題も出てくるだろう。し かし、私は世界遺産に登録されることを望む。 座禅をとおして自らを見つめ、武士道の元とな る武芸に励み、敵味方の区別なく供養した武士 達がいたことを知って欲しい。そして、これら の歴史的建造物や豊かな自然をいつまでも変わ ることなく受け継いでいきたい。世界遺産とは、 世界の国々で協力して貴重な遺産を保存しよう とするもの。問題が生じたとき、鎌倉の人だけ でなく、より多くの人々と問題を共有し解決を 目指せる。だから、世界遺産になることは重要 だと私は考える。

 

松浦晃一郎さん(元ユネスコ事務局長)講演会とユネスコ無形文化遺産チャッキラコ公演のお知らせ

ユネスコ元事務局長の松浦晃一郎さんをお招きし 「世界遺産登録の現状と課題」をテーマに講演会を 行います。当日は、講演会とあわせて昨年ユネスコ の世界無形文化遺産に登録されたチャッキラコの公 演、松浦さんと角野栄子さん(作家)、伊藤玄二郎さ ん(鎌倉ペンクラブ副会長)とのパネルディスカッショ  ンを行う予定です。参加無料。先着順。 
◆日時…6 月12日(土)
    14 時〜16 時15 分( 開場13 時3 0 分)
◆場所…鎌倉生涯学習センター(きらら鎌倉)ホール
◆主催…鎌倉世界遺産登録推進協議会 
◆後援…鎌倉ペンクラブ
お問い合わせは推進協議会事務局(?0467-61- 3849)まで。

 

Watch! the 世界遺産

鎌倉の世界遺産登録に向けて、登録団体の各メディアが特色ある企画を放送し応援しています。 今回は鎌倉F M とJCN鎌倉をご紹介します。

「鎌倉世界遺産への道」で、登録推進最前線の声を放送中!

●鎌倉F M(82 . 8MHz) 毎週日曜 12 : 0 0 〜12 : 3 0
「湘南鎌倉いまむかし」番組後半「鎌倉世界遺産への道」

毎週日曜の正午、鎌倉FM(82.8MHz)では鎌倉の 今と昔を紹介する番組「湘南鎌倉いまむかし」の後半で、 「鎌倉世界遺産への道」というコーナーを放送していま す。ここでは、鎌倉市世界遺産登録推進担当や推進協 議会のメンバー、4県市の担当者など第一線で活動し ている方々を招いて、パーソナリティーの能登原秀実 さんがインタビューし、世界遺産登録の現状を分かり やすく伝えています。
 昨年は国と4県市のパイプ役としての大役を務める 神奈川県 生涯学習文化財課の方々ヘのインタビューが 行われ、広い目で鎌倉の置かれている現状を知ること ができました。今年に入ってからは逗子市の文化財保 護係の方々が登場し、名越切通や和賀江嶋をどのよう に史跡整備しているか、また、鎌倉と逗子が共に手を 取り世界遺産登録を進めている様子が報告されました。  能登原さんは「実際にどんな方々が鎌倉の世界遺産 登録実現のために頑張っているかを知って頂きたいです。 私自身、こんなに多くの方が携わっていることに驚きま した。しかもその一人一人に役割があり、分担して同 じ目的へ進んでいることがお話を伺ってよく分かりま した。うわべだけのインタビューではなく、現状にお ける問題点はどういうことかという深い話まで、皆さ んと考えていけるような番組にしたいと思います。こ れからも鎌倉が世界遺産に登録されるまで世界遺産へ の道を歩いていく仲間を一人でも多く紹介していきた いです。」と話してくれました。また能登原さんは本紙 の編集にも参加しています。日曜正午は鎌倉FM ( 82.8 MHz)にチューニングして、世界遺産登録の 近況に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

古都鎌倉の歴史を学び、世界遺産登録への理解を深める

●J C N 鎌倉 毎週木曜 17 : 10 〜 ※ 当日再放送があります。
7D a y s デイリー『一問一答! 鎌倉検定の道』

JCN鎌倉の顔として親しまれている鎌倉・逗子の 地域密着ニュース情報番組「7Daysデイリー」では、 毎週木曜日に『一問一答!鎌倉検定の道』を放映して います。このコーナーでは、鎌倉検定の合格を目指し ながら鎌倉の知られざる歴史を解明するために、安本 浩子さん、中村早紀さん、山縣綾さんの3人が交代で、 社寺や遺跡などを訪れ、出題しています。
 世界遺産候補地も度々取り上げていますが、鶴岡八 幡宮の大イチョウの特集を組んだり、八幡宮のボタン園、 荏柄天神の筆供養、瑞泉寺の狸和尚の墓など、親し みやすいテーマで紹介しています。  楽しみながら、鎌倉の歴史や世界遺産への理解が 深まります。  当日に再放送 もありますので、 どうぞお見逃し なく!

 

Event! the 世界遺産

いざかまくらトラスト主催・鎌倉世界遺産登録推進協議会共催・鎌倉市後援
いざかまくら塾第4 回 長崎&鎌倉コラボ企画
「鎌倉の心、長崎の祈り 世界遺産登録と市民活動」
〜その歴史と今、まちづくりの未来をみつめて〜

長崎の地は、近世初頭のキリスト教布教と殉教の歴史がつづられ、近代の信徒発見・信教復興、 さらには原爆の爪痕さえも遺しています。これらの候補資産が世界遺産登録されることは、長崎の市民が 歴史を超えて紡ぎ続けた魂の祈りを、世界に知ってもらうきっかけとなります。   一方、鎌倉では「古都鎌倉」の文化遺産と周辺のみどりを守りたいという市民の願いは強く、昭和40 年の 古都保存法制定につながり、今また世界遺産登録へと、市民活動の歴史を重ねていこうとしています。  長崎と鎌倉で、大切に守り伝えられてきた文化遺産と人々の歴史を振り返り、 共通する「市民の誇りと祈り/心」に支えられた世界遺産登録活動の意義を確かめ、 未来の「世界文化遺産のまちづくり」について考える一助に、講演会と写真展を開催します。

コラボ企画(1)

6月6日(日) 講演会&パネルディスカッション   会場/鎌倉商工会議所地下ホール

プログラム
(1)講演「長崎の教会群とキリスト教関連資産の世界遺産登録と市民活動」
  講師:日高真吾さん(長崎県世界遺産登録推進室課長補佐) 
(2)パネルディスカッション「長崎と鎌倉の世界遺産登録…2 都の市民活動とまちづくりを考える」
  コーディネーター:伊藤正義さん(鶴見大学教授)
  パネリスト:日高真吾さん、村田佳代子さん( 画家)、内海恒雄さん( 鎌倉世界遺産登録推進協議会広報部会長)
とき  平成22年6月6日(日)13 時3 0 分〜16時   定員 140 名   参加料 1,0 0 0 円( 高校生以下無料)
申込・お問い合わせは  武永(電話ファクスとも)  電話 0467-48-3595  Eメール kamatora08@yahoo.co. jp

コラボ企画(2)

6月1日(火)〜7日(月) 写真展  会場/鎌倉生涯学習センター(きらら鎌倉)地下ギャラリー
「長崎の教会群とキリスト教関連資産25点&武家の古都・鎌倉の候補資産23点」写真展

特別出展:「長崎教会スケッチ」(コラージュ/ついたて)村田佳代子さん
平成22 年6月1日(日)〜7日(月)10 時〜17時(初日13 時より・最終日16 時まで) 入場無料
○お問い合わせは………武永  電話 0467-48-3595   (会期中のみ・佐藤)  電話 080-4298-7162 

 

編集後記  

鎌倉の世界遺産登録は鎌倉 の歴代市長が替わるたびに着 実に前進してきましたが、先 日の松尾崇市長と推進協議会 事業部会・広報部会の話し合 いでもそれを実感しました。 登録に向けて国・県・横浜市・ 鎌倉市・逗子市が協働して作 業を進めていますが、鎌倉市 と推進協議会や市民の果たす 役割は特に重要です。
 推進協議会の特別顧問であ る平山郁夫先生のご逝去は誠 に残念です。世界遺産の登録 や保護についての国際的な活 動はご存じのとおりですが、 鎌倉の世界遺産登録について も、もっとご指導いただきた かったという思いで一杯です。
 観光振興シンポジウムが鎌 倉に関係の深い外国人の方々 から見た「鎌倉の魅力再発見」 というテーマで開かれ、世界 遺産登録に重要な示唆を与え ていただきました。。世界遺 産登録を契機に国際観光都市 としての質的な向上・発展を めざして鎌倉の文化資産が もっと生かされるよう一層の 努力をしたいものです。
広報部会長 内海恒雄

●鎌倉世界遺産登録インフォメーション&放送スケジュール

インターネット
●鎌倉世界遺産登録推進協議会HP
 http: // www. shonan-it.org/KWH-kyogikai/
FMラジオ
鎌倉FM(82.8MHz)…… 毎週日曜12 : 0 0 〜 1 2 : 3 0
 「湘南鎌倉いまむかし」番組後半「鎌倉世界遺産への道」
ケーブルテレビ
●JCN 鎌倉…… 毎週木曜 17 : 10 〜(当日再放送あり)
 7 Days デイリー『一問一答!鎌倉検定の道』

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