鎌倉世界遺産登録推進協議会
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武家の古都・鎌倉ニュース第17号

 

推薦書の完成へ向けて3 回目の国際専門家会議を開催
平成22 年度のユネスコへの推薦は見送りへ

◎国際専門家会議の概要
 平成22 年6 月23日(水)から24日(木)にかけて、文 化庁と神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登 録推進委員会(4県市委員会)の共催で、3回目となる、 「武家の古都・鎌倉の世界遺産登録に向けた国際専門 家会議」が湘南国際村センターで開催されました。過 去2回の会議で出された課題に対する検討状況を提示 し、推薦書の取りまとめに向け、海外の専門家の意見 を反映させることが目的です。
 今回もマルタのレイ・ボンディンさん(マルタ共和 国ユネスコ全権大使/歴史遺産保護)、米国のジョセ フ・キングさん(文化財保存修復研究センター/文化 遺産保護)、中国のル・ズーさん(清華大学/歴史建築)、 英国のクリストファー・ヤングさん(イングリッシュ・ ヘリテージ/考古学)の4人が海外から参加され、国 内からは五味文彦さん(放送大学教授/歴史)をはじ めとする推薦書作成委員の方々が参加されました。
 会議では、過去の会議で出された「山稜部の積極的 評価」や「武家文化の更なる明確化」などの課題を受 けた検討案が提示されました。これに対して、海外の 専門家からは「山稜部 は武家の古都・鎌倉に おける重要な要素であ り、構成資産の範囲に 広く含めていくことは 評価できる」「鎌倉の 武家文化を示す資産は、 かつて武家政権が存在 したことを示す証拠と して残されている」な どの評価に加え、「前 後の時代との比較によ り、その後の影響や、 鎌倉が始発点であるという鎌倉の独自性を示してはど うか」などの具体的な助言・意見を受けました。
 全体としては、「武家の古都・鎌倉に対する理解を 更に深めることができた」「素晴らしく前進を遂げた」 との高い評価を受けました。しかし同時に「イコモス の審査は更に厳格化しており、確実な登録を期するの であれば、顕著な普遍的価値の言明、比較研究、保存 管理計画等について、更に時間をかけて 精査し、「推薦書」をより充実したものと する必要がある」との助言も受けました。
◎今後の予定について
 この会議の後、4県市と文化庁は今後 の方向性について協議を重ね、最近ます ます厳しくなった世界遺産の登録審査や、 そのことを踏まえた国際専門家会議での 評価などを総合的に検討し、4県市の目標 であった、本年度中の国からユネスコへの 登録申請は見送られることになりました。  今後は引き続き文化庁と4県市が協力 し、早期かつ確実な登録に向け、平成22 年度中に推薦書案の完成を目指すなど、 準備を進めていくこととなりました。 

 

シンポジウム ユネスコ無形文化遺産と鎌倉の世界遺産登録を考える
松浦晃一郎前ユネスコ事務局長が鎌倉で講演

平成22年6月12日、推進協議会主催・鎌倉ペンク ラブ後援により、シンポジウム<ユネスコ無形文化遺 産と鎌倉の世界遺産登録を考える>が、鎌倉生涯学 習センター(きらら鎌倉)ホールで開催されました。 「かまくら学」に取り組む県立鎌倉高校生の2人 の司会で、松尾崇鎌倉市長のあいさつに続いて、 昨年秋ユネスコの無形文化遺産に登録された三浦 三崎の郷土芸能チャッキラコの公演が行われまし た。続いて、松浦前ユネスコ事務局長の「世界遺産 登録の現状と課題」の講演が行われ、その後、松浦 さん、作家角野栄子さん、「かまくら春秋」代表伊藤 玄二郎さんが、国際文化交流につい てシンポジウムで意見交換しました。 松浦さんの講演要旨を紹介します。

○文化遺産の保全
 チャッキラコをはじめて見て感激した。無形文化遺 産を保護する条約を作ることは就任以来の課題であっ た。それまで文化遺産は西欧中心の有形の文化遺産 に限られていた。今後は有形と無形の二本柱で保全 体制を作って、保全していかねばならない。
○世界遺産について
 世界遺産は今、曲がり角に立っている。186カ国の条 約加盟国のうち現在148カ国に世界遺産がある。サハ ラ以南のアフリカ、南太平洋、カリブ海の島国でも世界 遺産を持ちたいと願っている。まだ一つもない国で世界 遺産の登録を進めることが大きな課題になっている。中 世、近世、近代の宗教建築、その他の建築物が中心 だった。もう少し内容を多角化し、最近のものや非宗教 的なものもいれるという努力が払われなければならない。
既存の世界遺産の保存状態を厳しくチェックすると いうことで、最近も二つの世界遺産がリストから外され た。保全状態がよくなければリストから外すという警告 をユネスコとしては、発することができたと思う。さらに 新規の登録も厳しくなっている。最初は数を増やそうと いうことで、毎年30から40の新しい登録が行われた。 しかし世界遺産をすでに持っている国に対して、厳しく 新規提案を審査するようになった。
○鎌倉の世界遺産登録
 暫定リストに登録されている鎌倉ではとくに外国人の 専門家の意見を聞いて、周到に準備をしているのは非 常にうれしいことである。さらに1960年代から市民が問 題意識を持って、歴史的な建造物のみならず、全体と して景観を大事にする形で、文化遺産を市民の力で 守っていくという歴史があり、非常に重要な事だと思う。
 平泉が遅れた結果、鎌倉も影響を受けたが、決して マイナスではない。平泉が失敗したケースを反面教師と してよく勉強してもらいたい。京都の場合は全体ではな く、17の神社仏閣が世界遺産になっている。平安時代 を中核として、鎌倉、室町、安土桃山、江戸まで入って いる。ユネスコの考えからいえば京都が神社仏閣を網 羅したものを登録しているので、同じ時期の同じようなも のが他の地域にあれば、京都にくっつけるべきである。 serial nomination(一連の指定)の考え方である。鎌 倉の場合にも当てはまる。
 鎌倉が武家の文化ということを基本テーマに据えた ことは評価できる。京都の神社仏閣と違う独立した世 界遺産として登録することが、どのように正当化される のかを考えなくてはならない。真正性と完全性は最初 のものがそのままの形で残っているという基準をクリアし たものを、武家の文化という大きな命題の下に並べてい かなくてはならない。専門家がしっかりと準備して武家の 文化で説明しなくてはならないし、真正性、完全性のあ るものを厳選しないと平泉の二の舞になるおそれがある。  あまり欲張ってやると世界のいろいろなケースを見て いるイコモスの専門家は、「鎌倉の基準はおかしい」と 言いかねない。評価基準の1から6までのどれが当ては まるか。極端には1つでもいいのだが、あてはまるものを しっかり厳選していかなくてはいけない。三浦にチャッキ ラコがあるように、鎌倉には流鏑馬という無形遺産が ある。無形遺産の登録が有形遺産登録の要件にな るわけではないが、有形・無形を総合した形の保存が 重要である。

 

『武家の古都  鎌倉塾』  平成22 年度春季講座’歴史遺産と生きる’第2回講演要旨
極楽寺の文化財と生きる

講師:極楽寺住職 田中密敬さん
とき:平成22 年5月2 2日(土)  ところ: 極楽寺客殿

◎極楽寺の前身と創建
平安末期に深沢の里に既に極楽寺の前身の寺が あった。その後鎌倉時代に入り、正永和尚の死後廃れ たが、北条重時が寺院再興を思い立ち、忍性を招き 相談した。寺では創建をこの年、即ち12 59 年としている。 開基の北条重時は執権を補佐する連署を勤めたが、 その前は六波羅探題の時代が長かった。京では藤原 定家とも交わり、歌は『新勅撰和歌集』などに採られて いる。幕府内での処世術などを100条近くにまとめた 『六波羅殿御家訓』等も残している。重時の家系は極楽 寺流と言われ、後の執権赤橋守時らにつながって行く。
◎清凉寺式釈迦如来像
 忍性は1267年に開山と して極楽寺に入寺した。寺 の本尊としたのは清凉寺 式釈迦如来像で脇に配し たのは十大弟子像であっ た。清凉寺式の像にはそ の濫觴にひとつの伝説が ある。釈迦在世の日、亡く なられた母摩耶夫人のもと へ90日間の説法に行かれ た。その不安感を解くため に、優填王が国中の工人 達に釈迦像を造らせたと いう生身を写した像である。 その形が中国に伝わり、模 像を唐に留学した東大寺 の「然(ちょうねん)が持ち帰り、伝えた釈迦像である。  平安時代の末は武士が台頭し、荘園制度も変化し てきたが、仏教の世界でも従来通りでよいのか、という 思いが芽生えてきた。唐招提寺を再興した実範そして 明恵から貞慶へ、末法の時代に釈迦の教えに帰ろうと いう考え方が生れてきた。
 その象徴が生身仏像であり、もう一つが釈迦の教え を直接受けた十大弟子の像であった。そして、釈迦の 時代に帰るには戒を守ることだ、となった。  日本に戒律を体系的に伝えたのは鑑真で、唐招提 寺には『東征伝絵巻』があって戒壇を設けた様子を 伝えている。戒を守る伝統を受け継ぐ活動は奈良西大 寺が拠点となり、忍性の師の叡尊などが戒律復興に取 組んだ。僧団内の確認事項が戒、細かい定めが律で、 忍性の開いた当寺は極楽律寺と称していた。真言律 宗とは明治以後の名称である。 
 初源の仏教に戻ろうということで、衣は香色(土の 色、最後は土に還る)を用いた。
◎慈善事業と寺の変遷
 創建の後発展していき、金堂、方丈などが揃い、他に 療養所やハンセン病者の治療施設なども建てた。『とは ずがたり』の著者の後深草院二条もこの頃極楽寺を 訪れ、寺の様子を記している。忍性は幕府祈祷寺にし てもらうことで、宗門の安定を図り、生き物を殺生から守 らせた。
 1303年に忍性は87才で入寂したが、忍性塔もこの 頃造られたと思われる。その後長老は栄真、順忍と 続いた。
 1333年の新田義貞の鎌倉攻めでは、極楽寺辺り が戦場になり被害を受けたが、その後は後醍醐天皇の 勅願所とされた。そして足利尊氏とその子の鎌倉公方 基氏などから保護を受けてきた。  室町時代には火災被害等を受けたが、その後、性 善による第一の中興があった。
第二の中興は江戸時代の恵性によるもので、仏法 寺を移して方丈とし、仏像修復などを行った。  明治に入ると神仏分離令の発布で、それまでの朱印 寺院は寺領を失い、苦労することになった。教部省は 七宗以外の寺は廃寺としたため、西大寺一門は真言 宗に入った。その後南都の諸寺の伝統が認められ、明 治30年代には真言律宗となった。
 1923年の関東大地震では、大方の建物が倒壊、 文化財も被害を受けた。鎌倉町には復興の見込みが 難しいと報告した。第二次大戦後は寺地が減少した。  寺は代々仏像、文書などを守って今日まで続いてき た。それらを今後も守って行く。
 国は文化財を美術品として指定するが、されないも ので大事なものも多い。辻のお堂を地元が守るように、 地元の守る姿勢は大事だ。伝えられてきた文化財は身 近にあるべきである。

 

第2回 世界遺産登録推進のための意見交換会
足元の文化財を守り伝えるための地域活動

8月13日(金)、市役所第3分庁舎において、第2 回意見交換会が開かれました。荒井章さん(意見交 換事業実行委員長)の司会で、内海恒雄さん(広報部 会長)の世界遺産登録推進協議会の活動についての 説明、岩壁宗孝さん(深沢地区連合町内会長)・山井 照久さん(同副会長)・内海勉さん(山崎町内会長)な ど三名の招待者による、深沢地区の活動についての 報告があり、それを契機に、様々な視点からの意見が 交されました。地域の伝統文化・文化遺産の保護や 地域住民による新たな行事への取り組みは、世界遺 産登録推進の重要な支えですが、そのような意識を 共有した有意義な会でした。
交された意見を要約して紹介します。

○鎌倉世界遺産登録推進協議会の活動
 鎌倉の登録推進活動は行政と市民が一体となって 行なわれている。深沢地区には国指定の史跡となった 『北条氏常盤亭跡』や大仏切通、大寺院で寺分という 地名の起源となった大慶寺など、貴重な遺跡や文化 遺産が多い。開発による消滅の危機にさらされながら、 伝統的な祭や古文書なども地域の人の力で守られて いる。この地区を除いて世界遺産は考えられない。
○深沢の市民活動
 深沢地区は梶原・寺分・上町屋・山崎・手広・笛 田・常盤からなる。かつての深沢7ケ村の親睦を図る有 志懇親会や地区在住市議会議員との懇談会・文化 祭その他が行われており、梶原の御霊神社や山崎の 北野神社および上町屋の天満宮の湯立神楽などいく つかの伝統文化がある。御霊神社にはかつて太鼓橋 があり、鶴岡八幡宮の造りに共通する。湯立神楽の時 には、等覚寺の住職を招いて、深沢小学校裏のやぐら に祀られている梶原景時等の供養も行なっている。
○深沢の夏と冬の祭
「ふかさわ夏まつり」では、新川とうろう流し・万灯みこ しお練り巡行・ふかさわズンドコ踊り・盆踊り・歌謡ショー や模擬店などが催され、「冬まつり」では、樹木にイルミ ネーションの飾り付け・みこし・中学生のバンドなどが催 されるが、近年若い人が増えて盛り上がっている。連合 町内会による新しい祭である。それに対し伝統的な祭と して各町内会の神社祭礼がある。
○深沢地区の特色と問題点
 交通の利便性に優れ開発の進んだ深沢地区は、 市街と自然の緑との調和、文化財の保全に関してモデ ル地区となり得る。しかし貴重なバッファゾーンである緑 の山は、藤や蔦類を除去するなどの手入れをしない限 りたちまち荒廃する。例えば野村総研跡地周辺の緑は 危険な状態である。緑の荒廃は文化財の崩壊につな がる。開発と緑地をうまくコントロールしなければならない。  鎌倉駅・大船駅周辺に対して、深沢に第三の拠点 を作ろうという計画がある。JRから購入した土地とJR 工場跡地を中心として新市街を造る計画であるが、隣 接する土地や自然との調和を図りつつ、地域の様々な 歴史を取り入れていくことが望ましい。ただJRの跡地に は土壌汚染の問題があり、その解決が前提となる。
○遺産登録に関する地域の意識と課題
 深沢地区においては自分たちの地域は世界遺産 の対象外という冷めた意識があり、盛り上がりに欠けて いる。また市民となってまもない人が多く住んでいるマン ションは、場所によっては啓発活動の一つの壁となって いる。地元に有形・無形の文化財がありながら、あまり 知られていないのが現状である。
 遺産登録候補の文化遺産から外れてはいても、深 沢地区の神社や寺院は旧市内のそれらとつながって おり、決して無関係ではない。自分の所はどこにつな がっているか勉強すべきである。例えば鎌倉攻めで最 後の執権赤橋守時が命を落としたのも、唯一の鎌倉 武家の館跡「北条氏常盤亭跡」があるのも、この地 区である。これらの歴史を知れば、由緒のある地域で あることがわかる。
 文化遺産は周辺と切り離されて孤立しているわけで はなく、周辺を含めて総体的に保存する必要がある。 例えば深沢地区も含む仮粧坂や大仏切通は、切り 立った崖だけに文化遺産としての価値があるのではな く、山の稜線まで含めて、出入り口からそれに通じる地 域と一体化させて把握することに意義がある。また文化 遺産はそのような空間的な広がりばかりではなく、時間 的な流れとして把握しなければならない。寺社への参 詣が市民に定着したのは、鎌倉武士が発端であり、そ れが現代にまで伝えられている。そのように文化財は時 空のひろがりをもって現代を覆っている。世界遺産登録 を視野に入れて、宗教や宗派を超えた、市民が楽しめ る祭を企画してはどうだろうか。そのような大胆な発想も、 世界遺産登録を推進するエネルギーになるだろう。今 後は行政と市民の垣根も取り払って討論していきたい。

 

「鎌倉の世界遺産登録についてのアンケート」結果
『登録は、鎌倉の文化財や環境を守るために』

本年1月に行った「鎌倉の世界遺産登録について のアンケート」には県立鎌倉高校からの200通以上を 含む489通の回答をいただきました。アンケート調査検 討実行委員会でまとめた結果を一部抜粋し、4年に 亘る推進協議会の活動の成果と、今後の広報活動 の課題が明示される内容であったことをご報告します。
 回答は、男女ほぼ同数、居住地域は鎌倉市内と市 外半々でした。年齢別では、高校生の回答が多かった こともあり、20歳以下が半数近く、61歳以上の関心も 高いものの、20代〜30代の関心は低いことがわかり、 緊急の課題に挙げられました。
 全体としては、鎌倉の世界遺産登録のコンセプトが 浸透し、登録の必要性にも深い理解が得られています。 講演会等の活動にも関心が高く、積極的に参加した いとの希望が寄せられており、市内外を問わず行ってき た4年間の活動の成果を実感しました。
 なお、各候補地に行った人が必ずしも推奨したいと 答えていないことも大きな課題として受け止めました。 鎌倉の文化遺産それぞれの価値について理解を深め てもらえるように、ガイドブック作成など今後の広報活 動に生かしていきます。
 詳細は、別途発行する報告書をご覧ください。

 

めざせ!世界遺産登録

地元を知って世界遺産登録    神奈川県理容生活衛生同業組合鎌倉支部

鎌倉・逗子・葉山の 理容店が親睦・技術交 流を目的に50 年近く活 動して、現在94 店が参 加し、ボランティア活動と して老人福祉施設や病 院での散髪もしています。
 最近ではもっと地元の歴史や文化を知ってお客様に 提供できればと思い、広報部会長の内海恒雄さんを 講師にお願いして、鎌倉の歴史や文化の勉強会を夜 の8 時45 分〜 9 時50 分に5 回開きました。鎌倉時 代以前から始まって、鎌倉の世界遺産についてや鎌 倉時代の文化とか、逗子・葉山も含めた寺社・史 跡から別荘・文化人とか横須賀線の駅や松竹撮影 所・大船観音などまでいろいろ楽しく学びました。  また寿福寺・英勝寺とか妙本寺・上行寺などの公 開されない本堂などを特別に拝観し、建物や仏像等 の細かい見方や素晴らしさが良く分かりました。 顧問の飛田勇さんは、「国際都市鎌倉が世界遺産 登録をめざしていることが良く分かりました。今後ももっと 鎌倉の歴史や文化を知って、鎌倉の遺産が全人類 のものとして残されるよういろいろな人に話しかけていき たい」と話しています。

 

登録推進活動に積極参加!    鎌倉市市民活動センター運営会議

平成10 年5月、日本で初めてとなる公設市民運営に よる「市民活動センター(通称:NPO センター)」が、 鎌倉と大船の2館同時にスタートしました。その運営・ 管理を指定管理者として担っているのが、鎌倉市市 民活動センター運営会議です。このセンターにはまち づくりの推進や文化・芸術・スポーツ振興、環境保全、 保健、医療、福祉の増進など17 分野・383 団体が登 録しており、現在は特に市民活動と地域との連携を 視野に幅広いコーディネイトに力を入れています。
 世界遺産の活動では平成20 年より、毎年春に主 催している「かまくら市民活動の日フェスティバル」には 推進協議会のブースを作り、候補地の内容や協議会 の活動に関するパネル展示・T シャツ、散華の販売な どに協力しました。また、大船と鎌倉のセンターに推進 協議会の広報誌や参加団体と共催する講演会など のパンフレットを置いて、訪れる方々に呼びかけています。  事務局長の渡邊さんは「鎌倉のまちづくりや環境保 全に携わっている個々の 団体と手を携え、鎌倉 の素晴らしい風致を守る 運動に協力したい。その 一環になれば」と話して いました。

 

「古都鎌倉の世界遺産登録』ってなに?
第16回 北条氏常盤亭跡はなぜ世界遺産候補地か?

北条氏常盤亭跡は、鎌倉幕府第七 代執権北条政村や第八代執権北条時 宗の連署(執権の補佐役)北条義政 らの別邸跡と伝えられている遺跡で す。
 遺跡は鎌倉西側の重要な交通路で ある大仏切通の近くにあります。北 条氏はこのような交通の要所に一族 の館を造り、交通路の支配と防御の 拠点としました。屋敷地は谷を切り 開いて造り出されており、現在でも 斜面を垂直に切り出した切岸を見る ことができます。平地の少ない鎌倉 での、当時の土地開発の状況をよく 表しています。
 昭和五二年〜五三年(一九七七〜 一九七八)に発掘調査が行われ、屋敷 の一部と考えられる礎石建物跡のほ か、金銅製の水滴や石製の硯などが 発見されました。『吾妻鏡』には、北 条政村の館で将軍らを招いて和歌会 を催したとの記載があり、これらの 遺物との関連も窺えます。史跡指定 地の最東部谷戸は「タチンダイ」と 呼ばれており、「館の台」が転訛した ものとの説もあります。この谷戸の 奥には、中世の墳墓の一形態である 「やぐら」も良好に残っています。  武家政権の中枢を担った北条氏一 門の館の跡が、谷戸とそれを取り囲 む山稜と一体となって、ほぼ当時の 地形のままに今も残っている貴重な 遺跡が、北条氏常盤亭跡なのです。

 

News! the 世界遺産

鶴岡八幡宮大銀杏…ヒコバエ生育、順調です

鶴岡八幡宮の大銀杏は、ヒコバエの順調な成長 などで予想を上回るピッチで再生しています。倒 伏直後から再生を手がけてこられた東京農大教 授(生物環境調節学)の濱野周泰さんに、倒伏以 降の体験を伺いました。

 社叢学会で神社とかお寺の杜などにかかわる調査 研究を進めており、2 年前に鶴岡八幡宮の吉田宮司 から言われ、森の存続とか、健康の回復などでお手 伝いをしていたところ3 月10日朝、八幡宮からの電話 で大銀杏の倒伏を知らされました。
 直後に「再生不可能」という私の考えがマスコミで 伝えられました。「再生」というと前の状態にすべてが 戻るという意味にとられ、原状回復は不可能だという 意味だったのです。すっぱり言わないと迅速な対策が 講じられません。おかげで神奈川県の天然記念物指 定解除がスムーズにいきました。指定されたままでは幹 を切断したり、場所を移動するなどの手当てが滞ってし まいます。現状には戻らないということであれば形が変わ り、場所が移動しても八幡宮の理解が得られるという こともありました。
 銀杏は大変生命力の強い木で、挿し木が非常に 容易ということもいわれており、一定の高さで植え付け れば、萌芽するだろうという予測も立てられました。幸 い今年の夏は非常に暑く、ヒコバエの成長にプラスに 働いたといえます。暑いので蒸散が進み過ぎたり、水 が切れると枯れてしまいます。具合の悪いものは剪定 で除伐していただいて管理してもらっています。9 月下 旬から10 月に入って急激な低温があると枝の先が痛 みかねない不安もあります。
 鎌倉は三方山に囲まれているので、その中での生 活様式をもっと表に見せると、遺産としての価値が生ま れるのではないでしょうか。そのためには地域を守るた めの方策を立てなければなりません。渋滞回避も含め て駐車場とか交通の流れを整理する必要があります。 歴史遺産を守り、鎌倉が持っている文化性の再生の ために地域計画の立て直しを図るべきです。生命の継 続のために鎌倉が持っている文化のDNAをもう一度 再生させるべきです。大銀杏再生の体験は交通網の 整備などで鎌倉の街の周辺整備でもいえるはずです。

※インタビュー詳細は下記ブログに記載しています。
 http: // blog.livedoor.jp / kikurotakagi /

 

Watch! the 世界遺産

GOGO TOWN in 大さん橋
 9月2日、3日、横浜の大さん橋ホールで行われた55 歳以上の人のための文化祭「GOGO TOWN in 大 さん橋」で、鎌倉市老人クラブ連合会の作品展示とと もに、推進協議会も鎌倉の世界遺産候補地のパネル 展示を行いました。2日間で1万人を超える来場者が あり、推進協議会のブースの前にも、多くの人が足を 止めました。鎌倉の 世界遺産登録へ の理解を深めても らえた2日間でした。

 

Event! the 世界遺産

鎌倉世界遺産登録推進協議会主催・鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会共催
第4回 ワークショップ「鎌倉の世界遺産登録へのまなざし」

鎌倉の世界遺産登録に向けては、神奈川県と横浜市・逗子市が鎌倉市と共に協力連携して活動を進めています。 今回は2 市をはじめとする県下の各市町村のみなさんの参加を募り、数テーブルに分れて「武家の古都・鎌倉」の 世界遺産登録について活発な話し合いをする企画です。もちろん従来と同様に鎌倉と首都圏住民の参加も前提にしています。
と き  平成22年10月31日(日) 13:30〜16:00   ところ  御成小学校体育館
定 員  60人(先着順)   参加費  無料
申込方法/住所・氏名・電話番号・メールアドレスを明記、はがき・FAX・Eメールで下記の推進協議会 事務局「ワークショップ係」へ。

鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会主催・鎌倉世界遺産登録推進協議会共催
第20回 鎌倉の世界遺産登録連続シンポジウム「鎌倉の若者たちと世界遺産」

今回は、従来の識者に講演・議論を依頼するというスタイルを脱却し、鎌倉の未来に想いを持つ若者たちによる パネルディスカッションを行います。30 代の松尾市長も参加します。
とき  平成22 年11月20日(日)  13:00〜16:30  ところ  建長寺・応供堂   定員 100人(先着順)
参加費 建長寺入山料(300円)+資料代(200円)
申込方法  住所・氏名・電話番号を明記し、電話・ハガキ・FAX・Eメールで鎌倉風致保存会へ。 〒248-0012 鎌倉市御成町9 -1
TEL 0467-23-6621 FAX 0467-23-6631 E-mail: fuhchi@fsinet.or.jp

いざかまくらトラスト主催・鎌倉世界遺産登録推進協議会共催
鎌倉文化を学ぶ会 第1回(講座と現地見学)「鎌倉幕府滅亡の舞台〜元弘三年、東勝寺炎上」

鎌倉文化のコミュニケーターづくりをめざす講座の第1 回。新田勢の鎌倉攻めにより、 小町の菩提寺・東勝寺に追い込まれた北条一族。そのとき鎌倉はどこまで炎上したのでしょうか。 講座と現地見学で、滅亡の舞台に秘められた歴史の謎を学びます。( 茶話会形式)
講師  伊藤正義さん( 鶴見大学文化財学科教授)とき  平成22 年11月14日(日)
日程 12:30 鎌倉駅西口(集合)〜(講座)扇ガ谷・個人邸〜(現地見学)東勝寺跡〜(解散)16:00
参加費 1000円(当日:資料代・御茶菓子付)   問合せ  0467- 44- 3863(越野恵子)
申込締切 11月7日(必着)  定員  3 0 名(先着順)  お申込み 住所・氏名・電話番号を明記して下記へ。
(ハガキ)〒247 - 0063 鎌倉市梶原1 -17 - 36 武永有里 (FAX)0467- 48 - 3595(Eメール)kamatora08@yahoo.co.j p   

編集後記  

鎌倉の世界遺産登録も三 回目の国際会議が行われて いよいよ登録への準備も 整ってきました。
 国際会議では過去の会議 での課題について?武家の 古都・鎌倉に対する理解が 深められた?という評価が 得られ、登録に向けて前進 しました。しかし厳しさを 増している世界遺産登録審 査を踏まえ、今年度はユネス コへの推薦書の完成をめざし、 登録申請は見送られること となりました。
 ユネスコ前事務局長の松 浦晃一郎氏の講演で、世界 遺産登録の現状が極めて厳 しいものだということが良 く分かりました。
 登録には市民の熱意も大 切だとよく言われます。世 界遺産のワークショップで は、市民はもちろん市外の 人にも参加を呼び掛けてい ます。世界遺産の連続シン ポジウムでは、松尾市長を はじめ、鎌倉の若者も巻き 込んだ新企画を実施します。 世界遺産推進にも新しいエ ネルギーが加わりそうで、 頼もしい限りです。

広報部会長 内海恒雄

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インターネット
●鎌倉世界遺産登録推進協議会HP
 http: // www. shonan-it.org/KWH-kyogikai/
FMラジオ
鎌倉FM(82.8MHz)…… 毎週日曜12 : 0 0 〜 1 2 : 3 0
 「湘南鎌倉いまむかし」番組後半「鎌倉世界遺産への道」
ケーブルテレビ
●JCN 鎌倉…… 毎週木曜 17 : 10 〜(当日再放送あり)
 7 Days デイリー『一問一答!鎌倉検定の道』

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