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第3回『みんなで考える「どう守る私たちの世界遺産」』
(平成21年)報告9頁

テーブルF報告 テーブル進行役 大竹正芳

テーブルF、左から2人目が大竹さん
テーブルF、左から2人目が大竹さん
テーブルFは「社寺と参道」がテーマでしたが、テーブルの参加者が皆、鶴岡八幡宮に興味のある人ばかりであったこともあり、主に若宮大路について議論された。第一部ではとにかく参加者全員に色々と意見交換をしてもらった。以下は、そのときの備忘録によるものである。なるべくその時の生の声を聞いてもらいたく、煩雑であるが出来る限り表記することにした。

「八幡宮はいつ行っても人が多い、昔のものをそのまま保存するだけではなく今の生活に生かしながら保存されている、ひとつのやり方として受け入れられている」、「古都保存法は世界遺産登録になくてはならない、選ばれた対象遺産は違いがあってよい、外国からの調査、審査に通りやすいよう本当に良いものか?、除くのか付け足すのか考えてほしい」、「若宮大路の街並みが気になる、外から来る人は今の街並みを望んでいるのか」、「若宮大路の道としての価値の素晴らしさをもっとアピールして認識を高める必要がある」、「鎌倉の世界遺産登録は賛否半ばで盛り上がりが強くない、若宮大路は鎌倉の中央としてとらえた方がよいのでは」、「鎌倉の何を観て考えるのか、鎌倉は田園調布に次ぐ日本で住んでみたい街ですばらしい、世界遺産=鎌倉ではない、寺社とその周りがセットになって生かされている、総合的にうまく守るべき」、「登録の目的を考えて戦略的に勝つことが本当に良いのか」

「無秩序な建物が建っている、鎌倉は日本の原点なのできちんと規制しなくてはならない、参道の建物の建て替えのとき少しずつ規制しながら鎌倉のイメージを作っていく、交通規制もしなくてはならない、あのままでは気になる」、「鎌倉はどうしても八幡宮が中心、もっと荏柄天神もアピールできないものか」、「日本の原点はぐちゃぐちゃの色ではない、瓦屋根の統一等である」、「自分の住む街である鎌倉が好き、一歩先の街にしたい、民度パブリックが低い、家がバラバラなので象徴としての街並みをつくるために統一感を少しずつ街に対して高めていくように強いアピールが必要」、「鎌倉駅から海に行く人がいない、もっと良い観光地にすれば個性になる、下馬四つ角から海岸に至るところで 手をつけられる 放置されているところから松を植えている」、「現存する古都の大路は鎌倉の若宮大路しかない」、「高校生の子供は夏には海に行く、若い子が歩いて行くのは海である」、 「古都にふさわしい街並みを20〜30年かけて作っていきたい」、「4時には観光客が帰ってしまう、おいしいところ しゃれたレストランを作れば良い、年配者向けのマンションもあれば良い、すごしやすい形にすれば人が来てお金を落としてくれる」

「鎌倉は一番人が集まる場所にトイレが無い」 という意見が出てからはトイレについての議論も高まった。「トイレ整備されたらありがたい、外の人も海から帰ってくる内の人にも使える、管理は誰がするのか、市役所は忙しいしボランティアだとトイレットペーパーだけでもばかにならない、汚いままだと誰も行かない」、「ヨーロッパではお店のトイレを借りる、店が嫌がらないので それこそトイレで売るくらいの気持ちが必要である、店はいくらでもあるので観光地としての評判も高められる、ただし修学旅行生はどうするのかが問題」 この他にも「もっと自分たちの文化を守っていこう、質の良い観光客を育てていくことに期待」,「段(だん)葛(かづら)は今のまま残れば良い、建物のケバケバしたのは良く ないと思う、緩やかな規制の中で落ち着いた感じになっていくのなら良いと思う」、「雨が降って修学旅行生が集まれる場所がない」、「外(観光客)、内(地元)の両方が良ければいい、住んでいる人がこれならいいねと思う守り方が良い、人が出て行ってもまた地元に戻ってくるようなサイクルができれば良い」、「若宮大路に世界遺産をアピールする看板があった方が良い、2〜3年設置する」、「もっとシンボルマークや世界遺産登録の宣伝を増やす」、「案内板等に英語等の外国語の表記をもっと多くしてほしい」等の意見が交わされた。

第二部では以上を踏まえて図表作成をおこなった。図式としては「景観」⇔「整備」 (特にトイレ・交通)である。
景観:守るべきもの・提案
[若宮大路] 
・参道に接する町並みを色、形などでより統一的にしていくのがよいのではないでしょうか。
・鶴岡八幡宮と一体のものであり、大路商店街は古都・鎌倉にふさわしい景観に時間をかけて少しずつ変えていくことが望ましい。
・段葛は将来にもぜひ残したい。両隣の商店街はいま商業として成り立っているので現状を受け容れたいが、将来変えられるものなら、落ち着いた景観を目指すべき。
・時間をかけ、美的感覚の有る街づくりを心がける。
・“武家の古都”のシンボル。古都にふさわしい落ち着いた統一景観が求められる。具体的には建築材料、色、高さ、統一感に一定の規制を。
整備:駅前の景観を再整備
[景観] 
・若宮大路下馬から海岸までの景観整備をする。
[トイレ]
・若宮大路は、地元商店と観光客の交流の場。積極的にお店のトイレが使えるようにする。
・有料より、イタリアのBAR(バール)方式の方がよい。
[交通]
・道路地下をもっと利用できないのか。
・鶴岡八幡宮から荏柄天神への道などは、車とすれ違われずに行けるところが、“歩きたい”と思わせる。
・鎌倉大仏への道は、車が入るのを制限してはどうか。
・江ノ電、JRの地下化(京都の例)を。
その他
※市民が実行するにあたっての注文 ・方法について、市民、商業者、行政の役割分担を明確にし、議論ばかりしない。
※鎌倉の世界遺産登録そのものについての意見
・世界遺産登録を優先するのであれば、24の候補地を少し絞り込んで。登録後に残された遺産の保存等を考えるという、他のグループ(C)に同感。 ・日本で初めての「都市まるごと世界遺産」の可能性。24の構成資産にこだわらず街全体を保全する方向性を。

まとめと所感
 若宮大路中心の話で大仏の道や荏柄天神の参道が付け足しになってしまった。
しかし鎌倉の市街地の遺産は皆、同様の問題点があるように思われる。今回のFテーブルの結果は、全鎌倉で考えていただきたい。
テーブルFのまとめ
若宮大路二の鳥居の辺
若宮大路二の鳥居の辺
テーブルFの成果を発表する進行役
テーブルFの成果を発表する進行役

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