鎌倉世界遺産登録推進協議会   トップページ > ワークショップ実施報告書 > 第2回 目次 と 報告1頁 > 第2回 ワークショップ報告2頁

第2回『みんなで考える「世界遺産おすすめルート」』(平成20年)報告2頁

Aテーブル報告  田川陽子〈テーブル進行)

1.当日の進行全般 
Aテーブルの参加者6名のうち男性参加者は5名で、さらにそのうち4名は鎌倉在住年数も長く、鎌倉の歴史や文化についてそれぞれ大変に詳しい方たちでした。残る男性1名は都内在住の大学生で、唯一の女性参加者は鎌倉在住3年のアメリカ人の方でした。まず「鎌倉の魅力」についてですが、この女性参加者の「鎌倉は人が親切」「人間ウオッチングが楽しい」という意見にはみな共感を示しました。そこで当然のことながら、鎌倉の歴史や文化をもっと知りたい人のための、「鎌倉武家政権の痕跡をたどるルート」と、人とのふれあい、路地の魅力を満喫するための、「辻子(づし)ふれあいルート」の2つのルートが提案されました。
2.ルート作りのポイント
交通手段   休日の交通渋滞を考えると、基本的な移動手段は「歩いて」、さらに江ノ電やバスを使うということになります。
交通渋滞の改善のために、パーク&ライドという手法が既に実施されていますが、この駐車場はすべて海の傍なので、深沢のJR跡地にも作るといいのではという提案がなされました。
トイレ   「歩いて」移動するとなると、「トイレ」がどこにあるかは重要なポイントです。 鎌倉市の作った案内地図にはトイレのマークが入っていますが、世界遺産候補の史跡にはトイレの無いところも見受けられます。トイレを新しく設置するには維持管理なども問題になりますので、有料トイレはどうかとの提案もされました。
昼食     特にハイキングのようなルートには雨に降られてもお弁当を食べる場所の確保が重要との指摘もありました。
3.提案されたルート
(1) 武家政権の痕跡をたどるルート
江ノ電極楽寺駅−極楽寺−一升桝遺跡−大仏切通−タチンダイ・北条氏常盤亭跡 −仮粧坂(源氏山公園・葛原岡神社)−寿福寺−JR鎌倉駅
鎌倉の世界遺産登録のコンセプトは大きく分けて武家政権と武家文化の2つがあります。このルートは武家政権の痕跡を巡るというルートで、自然も満喫できる、健脚の方むけのルートです。車椅子では無理があります。遺跡で草が生い茂っていますので、草が枯れて眺望が良くなる冬がお薦めです。トイレは極楽寺とコース終盤の源氏山公園、寿福寺くらいしかありませんので注意が必要です。お弁当を食べる場所としては葛原岡神社付近がお薦めです。一升桝遺跡(現在非公開)は、交通路を押える要衝と言われていますが、防御遺構という見方もあった山上の平場です。まさにつわものどもの夢の跡で、遠い武家政権に思いをめぐらすことができます。
(2) 辻(づ)子(し)ふれあいルート
JR鎌倉駅−若宮大路−宇津宮辻子幕府跡−大佛次郎邸−鶴岡八幡宮−法華堂跡−鎌倉宮−覚園寺−鎌倉宮−瑞泉寺−報国寺
鎌倉の魅力として路地がいいとよく言われますが、路地よりも辻子という呼び方の方がロマ ンティックということで、このネーミングとなりました。辻子を巡ると、鎌倉のごく普通の家の佇まいや雰囲気を楽しむことができ、特に生垣は数も種類も豊富で、季節ごとにさまざまな顔を見せて、季節を問わず楽しめます。レストランも数多くあり、料理だけでなく、そこでの何気ないふれあいも楽しむことができます。 健脚の方も車椅子の方も、トイレの心配をする必要も無いでしょう。休日は混むと思われますが、「人間ウオッチング」という視点からすれば、それもまた一興かもしれません。
4.ワークショップを終えて 終始和やかな雰囲気で、和気あいあいと進行することができました。前述しましたが鎌倉に詳しい人の視点、女性また外国人としての視点、若者の視点の3つの視点があり、それらがうまく調和して、ルートを設定することができました。
若者の「泳げる海」という視点を取り上げられなかったことは残念ですが、「武家政権の痕跡を巡るルート」は私自身行ったことが無いので、是非行ってみたいと思いました。

Aテーブル 発表する田川陽子氏 Aテーブルのディスカッションの様子


Aテーブル 辻子ふれあいルート  

Bテーブル報告  長谷川栄子〈テーブル進行〉

Bテーブルの顔ぶれとディスカッションの進行
ボランティアガイドをなさっている方や、ハイキングコースの達人、鎌倉生まれ鎌倉育ちの若者や、他県在住の鎌倉初心者の若者など、ベテランと初心者、年配者と若者が混在した顔ぶれでした。テーブル参加者にばらつきがあることから、初めからテーマを絞って進めていくのも難しいだろうと推測し、第一部の意見交換ではコースづくりは頭に入れずに、ざっくばらんに意見を出し合うことから始めました。
最初に出た意見は、世界遺産が登録された暁に一番増えると予想されるのは、海外からの観光客だろうというものでした。海外からのお客様にはどこをご案内すべきか。ボランティアガイドをなさっている方も、テーブル進行役の私も時々海外の方をご案内する機会があるのですが、案内する場所といえばまずは大仏、お昼を挟んで次に鶴岡八幡宮、その後甘味やお買い物を楽しんでそれで終了か、余力があればさらにもう1箇所社寺をお連れする程度という、全く同じコースでした。つまり外国人が一番ご覧になりたいのは大仏で、案内する側として鶴岡八幡宮は外せないということなのですが、それ以上は彼らの興味も続かないし、疲れて無理だという共通の実感でした。アジアの方も欧米の方も、安価に観光を楽しむのが共通の姿勢で、宿泊場所がほとんどない鎌倉では半日しか時間がとれないこともあり、さらりと王道の鎌倉を舐め、基本的なまちの概要説明をするに留まらざるをえないという結論に至りました。しかしこの2箇所で終了してしまっては、『世界遺産おすすめルート』としては少々寂しい・・・。
さらにいかなる交通機関で、外国人観光客を案内するかという議論の中で出てきた次のテーマは、「歩き」でした。道路は混んでバスはなかなか動かない。歩道も狭く混んではいるが、やはり鎌倉で基本になるのは歩きだろうという意見です。そして鎌倉ならではの歩きといえば、やはり切通を通る「ハイキングコース」。しかし初めての外国人観光客をいきなり切通やハイキングコースにお連れするのもハードルが高すぎるだろうとのことから、対象者は誰になるか、という話題に変わっていきます。現在ハイキングコースはシルバーにとても人気です。年配の方は健康志向もあいまって山歩きが大好きなのだそうです。その一方で若者の姿はほとんど見かけない。若者は山歩きに興味がないのだろうと推測される中で、若者2人から出た意見は「若者山歩き=好き」論でした。
高尾山は若い人が多いのだとか。若者も自然は大好きだし、特に切通のアドベンチャー感がいいという意見でした。なんといってもその神秘性が魅力だということで、スピリチュアルスポットが脚光を浴びている昨今のご時世と重なるところもあるのかもしれません。では何故ハイキングコースに若者がいないのだろうか、若者を惹きつけるルートをつくれないだろうかという議論の中から、Bテーブルでは、初心者の若者にもお薦めのハイキングコースを絡めた世界遺産めぐりのルートを考えようということになりました。
そうして第二部の意見交換で詰められたルートは、(1)『若者おもてなしコース』と、最初に話題に上った海外からの観光客向きの、(2)『世界のお客様おもてなしコース』の2つで、下に記します。
(1)『若者おもてなしコース』(4時間コース)対象者;初心者の若者
北鎌倉駅集合→<徒歩>→円覚寺(トイレ休憩)→<徒歩>→建長寺→<山歩き>→見晴台→<山歩き>→十王岩(鎌倉の地形と都市構造を俯瞰)→<山歩き>→百八やぐら→<山歩き>→覚園寺付近で昼食→<徒歩>→鎌倉宮(トイレ休憩、疲れた方はここでバス利用)→<徒歩>→荏柄天神社→<路地歩き>→法華堂跡・頼朝の墓→<路地歩き>→大倉幕府跡の碑→<路地歩き>→鶴岡八幡宮(トイレ休憩)→<小町通り散策>もしくは<若宮大路散策>→甘味・買い物→鎌倉駅―解散
(2)『世界のお客様おもてなしコース』(3時間コース)対象者;初心者の外国人観光客
鎌倉駅集合→<江ノ電>→鎌倉大仏(トイレ休憩)→<徒歩>→長谷寺(高台から海を臨む)→長谷寺付近で昼食→<江ノ電>→鎌倉駅→<若宮大路散策>→鶴岡八幡宮(トイレ休憩)→<小町通り散策>→甘味・買い物→鎌倉駅解散
『若者おもてなしコース』では残念ながら切通は入っていませんが、初心者にいかに鎌倉を知ってもらうかという観点では、鎌倉の海と地形の関係や都市構造を俯瞰し、幕府が開かれた歴史や自然の特性を感じとることで改めて鎌倉を認識してもらいたいという意味から、天園ハイキングコースが第一候補となりました。
北鎌倉駅スタートで円覚寺と建長寺を訪れれば、2大禅寺も制覇できます。山を降りた後は、鎌倉ならではの路地空間も味わえます。幕府の痕跡を垣間見ながら鶴岡八幡宮に到着して、海までまっすぐに延びる都市軸・若宮大路を段上から臨むことで、また改めて歴史に思いを馳せることができます。後は小町通りで甘味やお買い物を楽しんでから帰ることになりますが、6つの世界遺産候補を巡り、山も路地も体験しながら、鎌倉を改めて認識できるコースとしてはこれ以上のものはないだろという一押しのお薦めコースができあがりました。ただ、ハイキングコースでは弁当持参というケースも多いのだが、急な雨もしのげる屋根付き休憩場所が極めて少ないという意見が出されました。ハイキングコースは入口がわかりにくく、初心者が自力で行くのはなかなか困難なため、詳細案内も含まれた、ハイキングコースを強調するルートマップも是非欲しい、という意見も出されました。
『世界のお客様おもてなしコース』では、徒歩でなく江ノ電利用となっていますが、短時間に効率よく廻り、疲労することなく好印象で鎌倉を後にしてもらうためにも、混んだ車道脇の人でごったがえす狭い歩道を歩くより、海も人家もすぐ近くに見える江ノ電が、鎌倉ならではの雰囲気が味わえていいだろうという意見でした。 行きと帰りが同じ交通機関であることは残念ですが、長谷大谷戸から佐助を抜けて鎌倉駅まで行くシャトルバスが将来行き来することを期待しようということになりました。司会の福澤さんから人力車を利用するのもいいのではないかという意見を頂戴しましたが、大部分の外国人観光客はお財布の紐が固いので、むしろレンタル自転車の利用が増えてくるのではないかという意見になりました。観光庁の設立もあり、今後増えていくと思われる外国人観光客のためにも、安価で快適な交通機関の整備が望まれるところです。
ワークショップを終えて
Bテーブルでは、年配・ベテランと初心者・若者という構成ならではの、自我自賛のコースができたのではないか、というのが皆の共通した感想でした。 リピーターを対象としたコースを設定するためには、テーマに詳しい参加者による突っ込んだ意見交換が必要になろうかと思います。ですが世界遺産を念頭に置くなら、登録後は鎌倉初心者の来訪が増えるであろうと予想されるので、今回のようなばらつきのある参加者の構成がとても生きたのではないかと感じています。
編集注:明治26年、雑誌「日本」に載った正岡子規の「鎌倉一見の記」では東京から汽車で来た子規は由比ヶ浜の知人宅を訪れ、それから鶴岡八幡宮・建長寺・円覚寺と巡って句を吟じ、二日目は由比ヶ浜から星月井・長谷寺・大仏と巡っています。一見の客が鎌倉を見回るとこうなるという例だが、「世界のお客様おもてなしコース」は、上記二日分を一日に圧縮しようとすると、白眉の二ヶ所と長谷寺に絞らざるを得ないという案であり、「納得エッセンス・ルート」とも言えます。

地図作成の様子

Bテーブル おもてなしコース
 

Cテーブル報告  山崎恵美〈テーブル進行〉

・提案するルート 
1「贅沢・健脚・全資産ルート」 世界遺産候補の資産をくまなく回ることにより、鎌倉の武家の古都としての意義を感じ、また、様々な変遷を経てつくられてきた鎌倉由来の文化を知ることによって、鎌倉の都市の基盤を感じてほしいと思いこのルートを提案しました。
鎌倉を作り上げている歴史は、鎌倉時代だけではなく近代以降今迄にも大きな比重がありますが、鎌倉が他にはないと世界に主張する資産はやはり鎌倉時代のものです。それならいかに候補資産を効率よくくまなく回れるかを考えてみたい、という意見から作成されました。
Cグループが鎌倉らしさを考えたときに共通したのが、自然の環境と魅力ある道でした。このルートは、鶴岡八幡宮から海までの参道や切通しから山道などを歩いたり、街中の路地を歩くなど、鎌倉の骨格や魅力が十分に感じられるルートになりました。
  2「北条氏ゆかりのルート」
 源氏三代が途絶えた後の政治は北条氏による執権制に移りましたが、北条氏は他の有力武家との関係もあり、将軍位には就かずNo.2の座で実権を握り続けました。鎌倉時代の北条氏の盛衰を追ってみるのも、また鎌倉の側面が見えてくるということからこのルートを提案しました。
 今回、世界遺産候補とはなっていませんが、北条氏が実権を執った130年程をたどるという意味で、大船の常楽寺を出発点とし最後はやはり滅亡の場・東勝寺がゴールになるのがよい、という意見が出てルートを作りましたが、線で結んだとき無理がないルートができました。これは歴史を知る人でなければ思い浮かばないルートで、歴史的に重要なポイントを結ぶ道のりですので、このルートを回ることでより一層鎌倉の歴史観が深まるだろうと思われます。
 Cグループでは、世界遺産候補として選ばれたように、鎌倉が世界に発信できる特徴は、やはり鎌倉時代の源氏と北条氏の文化遺産にあるという認識から、鎌倉幕府の栄枯盛衰をしのぶ道のりを作りたいということで、ルート作りにあたりました。その結果、2つともに鎌倉時代の歴史を巡るツアーになりました。
[当日の進行]
Cグループでは、まず各自が鎌倉の好きなところを挙げました。歴史に詳しい方が多かったため、大巧寺・成福寺(大船方面)・瑞泉寺・円覚寺などのお寺や切通しなどの多くが挙がりました。一方で大学生からは緑の深い護良親王御陵や山の雰囲気、また海―まち―山へと続く町の変化が好きだという意見が出ました。みなさん共通したのは、緑豊かなこと、その上で特に強調されていたのが緑と文化が共生していることでした。またある方は、ある点だけがいいのではなくそれらをつなぐ道や、鎌倉全体が良いのだと述べました。
これからルート作りという段になって、ただルートを辿るだけでは意味はなく、そこにコンセプトが必要だということで、コンセプト探しから鎌倉らしさについて話合いました。小さな中に色々な景色があることや、緑や山の自然環境の良さ、まちが生きていてそこを通る道に鎌倉らしさを感じられるようでしたが、中々まとまりませんでした。中では古戦場を回るとか歴史的なものを見るとか、という意見が根強くありました。
中間発表を経て、いよいよ具体的なルート決めの時間になると、この会は世界遺産候補を回るルート作りなので、候補地以外を回るのでは意味がないという意見から、全候補資産を回るルートを作成することとなりました。効率よく回るため鎌倉を四つに分け、それぞれを一日で回るルートを考えました。朝夷奈切通から称名寺を巡るルートを加えると五日かかる、時間を贅沢に使う企画です。
北条氏ゆかりのルートは、歴史が好きな方が北条のルートを考え付いて作ったものです。グループのみなさんもその新鮮なルートに賛成し、みんなで回り方を考えながらルートを作りました。
最後に少し気になったことは、一人の方があまり鎌倉に詳しくないようで発言が少なかったこと、大学生が漠然としながらも鎌倉の町のイメージを持って意見を言ったのが、他の方の否定的な意見で遮られてしまったことなどです。
また、ウンチク話が盛り上がり、具体的な話に結びついていかない場面がみられたことや、今回世界遺産候補を結ぶルート作りということが頭にあったため、自由な発想が出にくかったこと、人に対しての否定的な発言も見られて、意見の強い・弱いで決まってしまった感があったことは残念な点でした。
とはいえ、みなさんそれぞれが持っている鎌倉への思いをルート作りという具体的な方法で表現できたことはよかったと思います。それぞれの鎌倉に対する思いがよく伝わってきました。話し合いに参加された皆さんや、このワークショップの報告をごらんになった人が、より深くより具体的に鎌倉の遺産について考える機会となればと思います。

Cテーブルの作成の様子


Cテーブル 贅沢・健脚全資産5ルート
 

Dテーブル報告  横川 啓〈テーブル進行〉

○ 参加者の構成
Dテーブルの参加者は5人で、そのうち3人が高校生(鎌倉高校)や大学生(東大赤川ゼミ)などの青年層という他のグループに比べ平均年齢の低いテーブルとなりました。居住地では市内在住者は2人で、その他は市外在住者という市外参加者が多いという構成でした。
○ 検討過程
まず10分間で参加者一人ひとりがおすすめのルートを考え、それを各自がプレゼンテーションすることにしました。そのとき出された提案は以下のとおりです。
1. 鎌倉観光・王道コース・・・提案ルート参照
2. 鎌倉世界遺産全望コース・・・寺→武家、切通等→自然、若宮大路・和賀江嶋→都市整備、という視点で1〜2日で回れるコース。 3. 世界遺産以外の社寺や山をめぐるコース・・・鎌倉といえば社寺と自然、世界遺産候補地以外にも見所はたくさんある。別名、知る人ぞ知る鎌倉をめぐるコース。
4. 鎌倉を6日で観光するための1日観光コース・・・江ノ電やJRなど公共交通機関の駅等を出発点として、全体を大きく6箇所に分ける。各コースは1日で回れるコースとして企画する。
5. 海と山・自然を楽しむコース・・・提案ルート参照
6. 鎌倉のすべての切通(きりどおし)をめぐるコース・・・文字通りのコース。例:江ノ電極楽寺駅→海岸線を徒歩で移動→和賀江嶋→元八幡→名越切通→逗子
7. 野鳥を楽しむコース・・・鎌倉の山をめぐり、野鳥を観察しながら自然を満喫するコース。 8. お墓めぐりコース・・・有名人、著名人が眠る鎌倉のお墓とその社寺をめぐるコース。北鎌倉→東慶寺(文士、名士)→長寿寺(足利尊氏)→寿福寺(源実朝、政子、高浜虚子)→鎌倉駅西口
○提案ルート
 参加者から提案された8コースから、議論の末、2つのコースに絞って具体的コースを組み立てることにしました。王道コースは外から来た観光者の視点で、1日で満足できるコースを作りたいという赤川ゼミの学生の提案を採用し、自然を楽しむコースは、鎌倉学を学ぶ鎌倉高校の生徒の提案を採用しました。ルートを組み立てる際に、移動は徒歩と公共交通機関を使用することを基本とし、トイレや食事・休憩の場所、バリアフリーのことなどを頭に置きながら行うことを基本としました。
1. 鎌倉観光・王道コース
思いっきり観光初心者のためのコース。鎌倉にきたなら、ここを押さえておけば満足というコースです。
北鎌倉駅→円覚寺→建長寺→鶴岡八幡宮→小町通(昼食)→江ノ電鎌倉駅→江ノ電極楽寺駅→極楽寺→長谷寺→鎌倉大仏→バス→鎌倉駅(お土産)
2. 海と山・自然を楽しむコース
鎌倉が京都、奈良と違う点は海があることです。そこで、鎌倉を満喫するため海と山と歴史を楽しむコースを企画しました。
江ノ電極楽寺駅→海岸線(徒歩)→和賀江嶋→光明寺(裏山から展望)→由比若宮(元八幡)→名越切通→まんだら堂跡(現在非公開)→逗子市内バス停→バス→鎌倉駅
○ まとめ
「参加の構成」のとおり、Dテーブルでは市外在住者と若者が多かったため、彼らの意見を尊重しながら議論を進め、この2つの提案となりました。しかし、みんなから出された提案は、どれを取り上げても面白いテーマばかりで、一つ一つ違う発想、違う場所である点も、鎌倉の奥深さを感じさせるものでした。短い間でしたが、楽しい雰囲気の中で豊かな議論と交流が行えた貴重な時間を過ごすことができました。

Dテーブルの様子1 Dテーブルの様子2
Dテーブルの様子3 Dのテーブル発表


Dテーブル 海と山・自然を楽しむコース
 

Eテーブル報告  高木規矩郎〈テーブル進行〉
―「禅の道」「若者の道」「健脚の道」そして「日蓮の道」も―

Eテーブルはコメンテーター赤川先生のゼミの学生を含む若者と人生体験を積んだベテランが一緒のユニークな編成が特徴で、ルート作成も全世代配慮型となりました。現実に世界遺産にからむ市民運動を担っている関係者の参加で議論が盛り上がったことも有益でした。ルート作成に至る活発な議論に意味があるように思います。鎌倉の世界遺産登録の進め方にもあい通ずるパターンです。
まず議論をスムーズに行うために、自己紹介を兼ねて、「鎌倉と私」について一言ずつ語ってもらいました。東大の女子学生は材木座に住む鎌倉っ子。「鎌倉がどうなっていくのか、鎌倉のイメージはどのように作られていくのか学部の研究の一環としても関心がある」とのことでした。フリーペーパーで鎌倉を紹介する企画に取り組んでいる男子学生二人は、「品川の大崎に住んでいる。鎌倉のイメージといっても小学校で来た遠足の思い出ぐらい。学生の団体で作っているフリーペーパーで鎌倉の特集をすることになり、ワークショップに興味を持った」、「北鎌倉の台に住み、円覚寺や海に親しんできた。鎌倉が好きだ。企画に取り組み始めて初めて、世界遺産の動きを知った」と印象を語りました。
世界遺産候補地の北条氏常盤亭跡近くに住む主婦は、鎌倉在住20年。「アダプト常盤道普請の会といって、ルートづくりをするうえで、素材となる道の美化活動をしている。身近な対象も大事だが、山の遠景や町並み、遠くの景色の美しさも重要だ」と語りました。東京から参加した工場経営者は「東京にとっての鎌倉は箱庭的なところがあって、狭い中にいろんな要素がそろっている。都心から一時間ちょっとで山の中に入れる魅力がある。三古都の中でも規模が小さい鎌倉が世界遺産になるかどうか分からないが、孫を連れてハイキングしたいところである」とのことです。専門は化学で、植物を対象とする大学(名誉)教授は、「武人でもあり、文人でもある実朝を通して鎌倉を見直したい。文の鎌倉を見る上で、金槐和歌集に出てくる五十種ぐらいの植物を集める金槐植物苑構想にかかわっている」と述べられました。
おすすめルート 「禅の道」「若者の道」「健脚の道」
「それぞれのスポットを、物語をたどってみようといったものがあればいいのだが」という進行サポートの推進協議会委員の意見を生かして、Eグループではお薦めルートとして三つのコースを出しました。
第一は「禅の道」、北鎌倉駅から円覚寺、東慶寺、浄智寺、建長寺を経て、浄光明寺、寿福寺に抜け、鎌倉駅に至るお寺巡り。 「お寺が若者にはちょっと地味すぎる」という意見を入れた第二の「若者の道」は、浄智寺からハイキングコースで源氏山に抜け、鎌倉駅に出ます。時間があったらレンタル自転車で稲村ケ崎まで海岸線を走り、極楽寺、大仏を回るという付録も付け加えました。
第三は「健脚の道」。円覚寺から明月院前の坂道を登って、天園ハイキングコースに入り、瑞泉寺か覚園寺に抜け、鶴岡八幡宮、若宮大路を経て鎌倉駅に至り、「軽く一杯」という触れ込み。最終的にはルートには載りませんでしたが、金槐植物苑の候補地であるフラワーセンター、玉縄城遺跡などを回る「大船再開発の道」と光明寺や材木座周辺の寺社などを重点的に回る「日蓮の道」も活発な議論の対象になりました。
「日蓮をどう見るか当時の反体制の象徴で、日蓮だけを浮き彫りにするのは反対もあろうが、現実の鎌倉を知るという視点があってもいいのではないか」という結論に落ち着いつきましたが、世界遺産をめざす実践的議論の一つとして面白いものだと思しました。「北条滅びの地」としての東勝寺の位置づけも魅力です。小津安二郎の舞台を歩くというアイデアは、映画好きにはこたえられないでしょう。
世界遺産二十四か所の候補地を歩いてその意味を探るというルートは出ませんでした。しかし、最終目標の登録そのものはさておいて、鎌倉を知り生活環境を少しでも良くするために議論を活性化させることも、世界遺産運動を支える重要な支流なのかも知れません。Eグループの議論に参加して考えたことでした。

Eテーブルの様子1 Eテーブルの様子2
Eテーブルの様子3 Eテーブルの様子4


Eテーブルのコース 1禅の道 2若者の道 3健脚の道  

Fテーブル報告  大竹正芳〈テーブル進行〉

○参加者の顔ぶれと前半の話し合い
Fテーブルは7人の参加者のうち3人が若者、4人が熟年と世代が見事に二分されたグループでした。最初はルート作りというテーマが漠然としていて、中々意見が出てきませんでした。
 自己紹介のとき熟年組のSさんが、鎌倉の世界遺産登録に対してご自身の意見を述べ、それがJR横須賀線の地下化など前回のワークショップにも繋がる話だったので、作業導入の良いきっかけとなりました。しばらくは進行役らスタッフの説明や意見を一通り述べ、それを足がかりに各参加者に意見を出してもらいました。
鎌倉の世界遺産登録を大学の卒論テーマに選んでいるNさんは「海を全面に出したら」と口火を切ってくださいました。前回のワークショップにも参加している大学生Mさんは「世代によって周るルートが違う。東京の学生は鶴岡八幡宮と大仏を観て、夕方江ノ島に行くのが定番だ。若い世代は、鎌倉でカフェ周りをしたりする。鎌倉の世界遺産登録候補地は、観光客が行けるところが限られる。」と意見を述べられました。Mさんは、みんなが鎌倉に興味を持ってくれるようにフリーペーパーを出す予定であるとのことです。
結婚後鎌倉に住まっている女性のUさんも前回ワークショップに参加された一人でした。「鎌倉のお寺では妙本寺や杉本寺が好き。鎌倉の魅力はおしゃれなお店が多く、海や自然が近くにあること。何日か滞在して地域の集まりやエコな生活を体験してもらったら良いこともできるかも。」と述べられました。熟年世代の方々からも次々とご意見が出されました。Sさんは「〜の道のように、宗派などを統一的なものにしたらどうか。神社とお寺の別や歴史的な区分けも良い。カテゴリーを一つ決めたルート作りが良い。」と述べられました。Cさんは「鎌倉時代の町人の町、武士が住んだ場所を巡るルートはどうであろうか。鎌倉についての情報がもっとほしい。情報が少ないので、もやもや感や悩みも多い。北条氏常盤亭跡もルートに入れたいのだが奥の方は草が生い茂っていて何もなく、入れない。“この遺跡はこういう姿になっている” というものがほしい。宗教的なルートも良い。」と語られました。
Oさんのご意見は「海+山+古都をキーワードにして街を取り囲む山の城壁の位置付けと、山を周りながらポイントごとにお寺を巡るルートはどうだろうか。対象者は“歩ける人”で、海と山を組み合わせて“海が見える山”をコースに入れたい。」というものでした。
ここでワークショップは前半が終わり、中間報告となりました。この時点では、まだ具体的なルートが出来ておらず他のテーブルよりやや遅れたペースでした。
○後半のまとめ作業と提案ルート
後半の作業ではUさんやOさんらの意見を踏まえ、実際に鎌倉の道を歩いて知っているKさんが具体的なルート案を出され、それをベースにし熟年世代が主にルート作り作業を行いました。
〈Fテーブルの提案ルート〉
鎌倉駅→本覚寺→妙本寺→ぼたもち寺(常栄寺)→大町八雲神社→祇園山から海と街を望む→祇園山ハイキングコース→腹切りやぐら・東勝寺跡→葛西ヵ谷から大町へ抜けるトンネルを経由して、苔寺(妙法寺)と安国論寺(一案としては釈迦堂口切通へ) →名越切通→ハイランド側の山頂より海を望む→衣張山山頂より海と街を望む→平成巡礼道→報国寺→浄妙寺→杉本寺→荏柄天神社→源頼朝・法華堂跡→鶴岡八幡宮→若宮大路、というコースを選びました。
〈提案ルートの所要時間、ツアータイトルなど〉
所要時間は6時間と想定して発表しましたが、実際には最低9時間以上はかかると思われます。個人的意見を言えば、現実的には2日に分けるべきではないかと思いました。季節は四季を通してのものとし、健脚者を対象に考えました。
テーマ及びタイトルは鎌倉幕府発祥の地である大倉幕府跡周辺にある荏柄天神社、法華堂跡等と幕府終焉の地である東勝寺跡がコースに入っていることや、山から海を眺めることなど色々と盛りだくさんであるため、「ゴールデンコース」というネーミングが付けられました。
お寺だけでなく、山歩きも多いコースなのでMさんの意見で「“自然(環境の)”食べ歩き」というサブタイトルになりました。
○まとめ
Fテーブルは中間報告までは出遅れていましたが、いざ後半の作業に入ったら真っ先にマップが出来あがりました。ものを作るときは、制作中よりも準備に時間がかかるものです。
偶然ではありますが、参加者がそれぞれ適材適所で役割分担を果たしてくれたことも大きかったです。難を言えば今回のマップ作りは具体的な鎌倉の地理感がないと出来ません。結局実際の作業に入ったときは土地勘のある2、3人でマップが作られて、若手はそこまで鎌倉について詳しくなかったので、ほとんど作業に加われませんでした。次回のワークショップでは、あまり経験値の伴わないテーマのほうが良いのかも知れません。
今回印象に残ったのは若い力です。鎌倉の世界遺産登録推進協議会にしてもそれを構成する市民団体の方々も、主力は定年後の熟年世代です。「亀の甲より年の功」で今まで頑張ってこられましたが、今後の鎌倉の世界遺産登録推進の発展を考えるときパワーと頭の柔軟さ、勢いがある青年達の力も必要だ、と痛感した次第です。

Fテーブルの様子1 Fテーブルの様子2 Fテーブルの様子3


ゴールデンコース
.
ページのトップへ

Copyright (C) 2012 Kamakura World Heritage Inscription Promotion Council. All Rights Reserved.
本サイトの無断転載を禁じます。 お問合せは、トップページの「問合せ先」から。